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奇跡の2000マイルのKKのレビュー・感想・評価

奇跡の2000マイル(2013年製作の映画)
4.3
まず、事実としてのインパクトが凄い
女性1人で砂漠を2700キロ!!
並大抵の覚悟ではこんなこと出来ない。

自分1人の力だけで旅をする。
どうしてそんな無謀なことをするのか、多くの人には理解出来ないことだと思う。だけど、自分はほんの少しだけその気持ちは理解出来る。
理由もなく旅にでる。
誰かに認められたい訳でもない。
ロビンは、お金が無くて写真家の同行を許したが、本来ならそれすらもなく、ただ1人で行きたかった。
そのことからも、ロビンが人に認められたくてやったことではないと分かる。

じゃあ、どうして旅に出たんだろう?
母の自殺、農場の破産、家族との別れ
人間関係、自分とは何なのか
普通に生活していても、ある時不安に思う。

自分はこんなことしていていいのかな。


自分の将来、夢、現状、仕事、勉強、家族、友人、恋人。
色んな思いが、混在して、考えて考えて考えても答えは出なくて、ずっと同じ場所でグルグル回っている。自分もそういう時があった。それがホントにいっぱいいっぱいになって、どうしようもなくなった時、どうすればいいのか。


僕は旅に出た。


旅というほど、大げさなものではないけれど、生まれて初めて1人で旅行に行った。
東京から深夜バスで名古屋まで行った。
名古屋で1日ウロウロして、美味しいものを食べた。
そして、名古屋から東京まで、ヒッチハイクで帰ってきた。

他の人から見たら、どうしてそんなことをしたのか、分からないと思うし、実際そう言われたこともある。

だけど、あの時の自分には必要だったと思う。
落ち込んだことがあって、それを忘れたかったのかもしれない。正直、自分なんてどうなってもいいやという気持ちで、自分を傷つけたかったのかもしれない。

そんな不安の上に不安を重ねるような旅は、ドキドキした。
誰にも言わずに出発して、帰りの交通手段は何もなかった。
初めてのヒッチハイクは、ドキドキして、ドキドキして、不安だけど、やるしか帰れなくて、もうどうにでもなれ!っとスケッチブックを掲げた。

車が止まってくれた時は、嬉しかったなぁ。
2組の方に出会えて、東京まで帰ることができた。
人間って、どうやっても生きていけるんだと初めて思った。

1億2000万人の中で、誰かは必ず助けてくれる。
「生きる」って、そんなもんなんだ。

初めてのヒッチハイクが、終わると達成感はあまりなくて、気を張っていた疲れと、帰れたという安堵がほとんどだった。

だけど、この文章を書いてる今、あの時のことを思い出している今こそ、達成感と、自分にはそれが出来たんだという晴れ晴れとした気持ちが襲っている。
ヒッチハイクから2ヶ月たった今、あぁやって良かったと初めて思った。


ロビンも、同じなんじゃないか。
色々あって旅に出て、旅の中でも色々あってもうやめたい、やらなければよかったと後悔する。
だけど、そこでやめていたら、諦めた記憶がずーっと残る。
それは後悔となり、ずっと苦しむ。

諦めずにやり通すことで、自らの大きな糧となる。

それをする理由なんて無くていい。

理由なんてなくても、それを最後までやりきれば、何かが残る。

自分に残ったのは、
ヒッチハイクをしたという経験と、
人間、やればなんとかなるというちょっとの自信。



なんとなく、自分と被ってしまって長く語ってしまった.....

ストーリーとしては単調で、まあ、2700キロ歩くってなったら映画以上に単調で孤独で、辛い旅だったと思う。
だから、一人旅が好きだったり、自分と向き合う時間を作るのが好きって人にはオススメです
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