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ドクター・ストレンジのsatoshiのレビュー・感想・評価

ドクター・ストレンジ(2016年製作の映画)
3.7
 見ました。感想としては、「映像はすごいけど、話は消化不良」です。

 まず、良かった点。映像がすごいです。VFX使いまくりで、使ってないシーンの方が少ないです。VFXにより、建物が動く動く。世界そのものが動いている感じで、見ている間は視点が定まらず、落下するシーンなどでは、登場人物たちとともに浮遊感すら覚えました。これは、もはやアトラクションの領域だと思います。

 次に、やっぱりベネディクト・カンバーバッチですよ。「傲慢な天才」と言ったら彼でしょう。彼の役者としての力か、ビジュアル的にストレンジがかっこいいです。他の俳優であったらあそこまであの衣装を着こなすことはできないでしょう。また、浮遊マントが何故かかわいく見えました。ああいう相棒感はいいですね。

 他のキャラも魅力的です。ストレンジと対極の存在であるモルドもいいですし、エンシェント・ワンの師匠感は圧倒的です。ウォンもいい奴ですし、カエシリウスについても、行動の理由を想像してみると、中々悲しいキャラだったと思います。また、モルドのラストの行動についても、彼のキャラから、何となく納得できました。あれも彼なりの正義なのでしょうね。つまり、全員の行動が、ある程度納得できるのです。
 こう考えると、「正義とは何か」のような、哲学的な話でもある気がします。

 そして、ストーリーもいいです。中盤までは。ストレンジがどうやって魔術を手に入れたかを、丁寧に、かつテンポよく描写しています。ああいう修行パートは好きなので、見ていて楽しかったです。そして、肝である主人公の成長も感じることができます。最初は傲慢で、他人を信用せず、名声ばかり追い求めていたストレンジが、純粋に他者のために戦うことを決意します。そこには、本業である「医師」と同じ信念があります。どちらも、人の命を救っていることに変わりはないのですから。ヒロインとの決別が、この決意の重さを物語っているように思えました。

 さて、ここまで良かった点を挙げたので、個人的にダメだった点に移ります。

 冒頭でも書きましたが、色々と中途半端です。時計は止まったままで、ストレンジはまだヒーローにはなれていない気がしました。故に、タイトルがラストに来るのでしょうか。しかし、オリジンとして、一応のけじめはつけてほしかったなぁ、と思います。後は、ストレンジが自ら進んで名乗らないのも気になりました。訂正で名乗るくらいです。そこははっきり名乗ってほしかったですね。

 次に、ストレンジの傲慢描写の少なさです。もう少しあれば、正義に目覚めるシーンが感動的になったような気がします。

 また、ラスボスとの最終決戦がショボいです。頓智はいいし、ストレンジがとった行動も、自己犠牲的で、これまでの傲慢な彼と比べると、他者のために戦う覚悟をしたのだなと、その決意を感じさせるものでした。しかし、もっと爽快感が欲しかったなぁと、勝手なことを思ったり。

 後はストーリーで、終盤は少し駆け足な印象を受けました。中盤まではいいテンポだったのに、最初の強襲からいつの間にか最終決戦になっていて、少し戸惑いました。

 最後に、この作品はIMAXで見た方がいいと思います。後、エンドロールが2つあるのも驚きました。続編を作る気満々でしたね。
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