BGMも殆どない静けさの中、孤独な少年の若く、危うい怒りが焦燥を帯びながら渦を巻き、
張り詰めた緊張は、まるで空気を吸い込み過ぎた風船のようで。
その衝動は親からの愛を受けてないからなのか、幼少期のトラウマなのか。
劇中たった二回
たった二回だけエリックの言った、
"thank you"
ありがとう というセリフが強く印象に残る。
この言葉で、憤りに任せ暴力に満ちた少年が、塀の中で一度目は仲間から二度目は父親からの愛を少しでも感じ取った瞬間が分かる。
そして謝ることを知る。
全力ダッシュをしているような、もがいてもがいて、苦しく尚かつ疾走感のあるこの映画、日本の"青い春"にどこか似たものを感じた。
この雄々しげな悲壮感。
