スコリモフスキ監督のイギリス時代は傑作揃いですね。『早春』と似た、なんともいえない黄色味がかった色彩と質感が味わい豊か。
男4人がロンドンに来て不法労働している最中に故郷ポーランドで戒厳令が敷かれる。その一大事をリーダー格の男が仲間に隠し通し、なんとか仕事を貫徹させようとするのだけれど、どんどん仲間から孤立していくのが滑稽で悲哀を誘う。綱渡りの姑息な策を講じる様子はチャップリンのサイレント喜劇を観てるような。金はなく妻への愛は溢れるほどあるが故に変な妄想にかられる哀愁漂う男、という主人公を演じたジェレミー・アイアンズが絶妙でした。