Nella

オデッセイのNellaのネタバレレビュー・内容・結末

オデッセイ(2015年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

この映画好きな人は善い人だと思う。(別に自分が善い人間というアピールじゃないよ、私から見た他人についてです)とにかく地味な映画で、火星に取り残されてまず最初にすることが食料を得るための農業だし絵面もずっと地味。エイリアンが襲ってきたり敵対勢力と戦ったり派手な展開は一切ない。地球上でNASAのトップがちょっと障害になる程度。この映画で一番恐ろしいのは畑の芋が凍る場面で、その芋がどれだけ貴重か淡々と語られてきたので「芋が!!」と絶望的な気持になる。
いくら対外政治でも中国があんなあっさり機密を明け渡すわけないとか、宇宙計画ひとつで世界が団結するわけない、と思わなくもない。でもそういうこと言う人は心が汚れてるんだと思う。人間は小さくて脆い。ちょっと体に穴が開いただけで、ちょっと食料や酸素が温度が足りないだけですぐ死んでしまう。だから協力し合って生きなければいけないんだよ。
暴論言うと、マット・デイモンが火星に取り残される映画はもう1本あるので、区別するためにベック役のセバスチャン・スタンと逆でも良かったんじゃないかと、完全にセバスタ目当てで鑑賞した人間としては思う(今調べたらそんな映画なかった、「インターステラー」と勘違いしました。すいません)。あと、半分位まで全く登場しないリッチ・パーネルだが、原作でも本当に下巻からしか出てこないし過剰にオタクで嘘っぽいキャラだし、難しい役柄をドナルド・グローヴァーらしい説得力で演じていたと思う。
マイケル・ペーニャもいい、ていうか全員いい。原作の爽やかな読後感を忠実に再現していると思う。エンディングのベックとヨハンセンに子供が産まれるという場面は原作にはないが、マークに散々「寂しい女だ」とかセクハラ受けていたので、そのぐらいの幸せをあげてもいいと思ったのか。リドスコ善い人だな。

余談・AppleTVのドラマ「フォー・オール・マンカインド」の初期のNASA感に影響を与えているのではないか。特にミッチは、ヨエル・キナマン演じる宇宙飛行士エドワードと造形がそっくりである。
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