タマル

パレードへようこそのタマルのレビュー・感想・評価

パレードへようこそ(2014年製作の映画)
4.5
せっかく参加してきたんだし、一応こっちもレビュー。

レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーはそれぞれ全く別のコミュニティがあり、相性も良くはないのですが(97年の「レズのくせに」発言など)、それでも不当な差別を受けるセクシュアルマイノリティという点において連帯するためにLGBTという政治的な用語が作られました。この連帯可能性は、より拡大して社会的に虐げられた弱者達の社会運動まで適用されます。一つの構造の中で序列化され、不平等が生じている点において反規範の点で連帯できるのです。
逆に言えば、セクシャルマイノリティーは個々ではそれほどのムーブメントを起こせないともいうことができます。連帯できなくなった結果、ゲイの権利は保証するが、レズビアンは排除するなど、より少数の勢力の差別が強化されることにもなりかねません。だからこそ、全く違うもの同士、その差異を認め合うことによって連結していくことが求められるのです。

ここまでいってきたような多様性の推進とそれによる連帯可能性がプライドムーブメントの本質であることは本作を観れば理解できると思います。プライドパレードに政治を持ち込むななどという批判がいかに的外れなものであるか、そんな批判が起こる日本はどれだけLGBTという概念に無知であるか、そんなことにも考えを巡られるいい映画です。
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