ユースケ

デッドプールのユースケのネタバレレビュー・内容・結末

デッドプール(2016年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

【ブレイド3】、【グリーン・ランタン】、【ウルヴァリン: X-MEN ZERO】、【ゴースト・エージェント/R.I.P.D.】など、出演作にアメコミ映画が並ぶアメコミ野郎ライアン・レイノルズが遂に手に入れた当たり役。自分自身を漫画のキャラクターだと認識し、第四の壁を破壊しまくり、過剰なバイオレンスと下品で不謹慎なギャグを観客にかましまくる不死身のお喋り傭兵デッドプール。メタリック草野仁ことコロッサスの「真のヒーローになるチャンスは人生で4、5回だけだ」というセリフ通り五度目の正直で真のヒーローになったライアン・レイノルズにまずは大きな拍手を。

とにかく、プロフェッサーXに会わせると言われれば「マカヴォイ?スチュアート?時系列が混乱して…」と役者の名前を言ったり、X-MENの秘密基地の恵まれし子らの学園におしかけては「大きな屋敷なのにX-MENは2人だけ?製作費足りないの?」と皮肉を言ったり、「緑色のコスチュームはイヤだよ、CG合成もね」と嘆いて【グリーン・ランタン】を思わせたり、「頼むから黙ってくれ、でないと口を縫合する」とエイジャックス(二代目トランスポーターことエド・スクライン)に嘆かせて口を縫合されてお喋りを封印された不完全なデッドプールを演じた【ウルヴァリン: X-MEN ZERO】を思わせたり、メタフィクションの効いたギャグはたまりません。

更に、Neil Sedakaの【Calendar Girl】の歌詞に合わせた月替わりセックスシーンやDMXの【X Gon' Give It to Ya】に合わせたGメン歩きシーン(途中で忘れ物に気付いて音楽を中断したり再開したりするところがたまりません)など、音楽ネタも要チェック。
【ハロウィンII/ブギーマン】と【ハロウィンH20】で流れたThe Chordettesの【Mr. Sandman】をバックに、不死身のお喋り傭兵デッドプールと不死身の殺人鬼マイケル・マイヤーズを不死身で繋いだ改造手術という名の拷問シーンにグッときました。

【96時間】と【ダーティーハリー5(原題THE DEAD POOL)】を同時にいじった上、改造手術の副作用によって痛みを感じない体を手に入れたのにキンタマに歯があるみたいな醜い顔になってしまったデッドプールと火傷の治療の副作用によって痛みを感じない体を手に入れたのにキンタマに歯があるみたいな醜い顔になってしまった【ダークマン】を被せるリーアム・ニーソンネタも秀逸。

設定の説明で退屈になりがちなヒーロー誕生譚をトリッキーな時系列シャッフルでラブ・ストーリーに仕上げた脚本家たち(【ゾンビランド】のレット・リース&ポール・ワーニック)はクレジットタイトルで表記されている通り本当のヒーローだと思いました。

ちなみに、全裸ファイトは【イースタン・プロミス】のヴィゴ・モーテンセン、エンジェル・ダスト(ジーナ・カラーノ)のくわえマッチ棒は【コブラ】のシルベスター・スタローン、スーパーヒーロー着地は【GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊】の草薙素子(元祖)からの引用。
他にも、【ロード・オブ・ザ・リング】【ライオン・キング】【スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲】【スパイダーマン】【マトリックス】【ロボコップ】【127時間】【エルム街の悪夢】【エイリアン3】【コクーン】【ロスト・イン・トランスレーション】【フェリスはある朝突然に】など、ボンクラ映画に見えて高い映画偏差値を求められる映画なのです。

本作の教訓…「ブサイクでも頑張れば彼女が出来る」