あんず

セッションのあんずのレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
4.3
数年振りの鑑賞。
天才を生み出すことに取り憑かれた鬼教官(フレッチャー)の指導によって、野心家の青年(ニーマン)がドラムにのめり込んで行く様は狂気の沙汰。彼女とも別れ、全ての時間と情熱を音楽に注ぐ。

観ているこちらにも息つく暇を与えない。劇中にチャーリー・パーカーのエピソードがあったが、天才と呼ばれる人たちは、生まれながらに天才なのではなくて、こんな風にして出来て行くのだろうか?

途中の事故後のシーンは、いくらなんでもあり得ないでしょ⁉️って突っ込みたくなったけど、狂気の沙汰の人間なら、本当にこんな行動をするのかも。

ジャズバーでフレッチャーの奏でるピアノの優しい音色を聴いた時、決して悪い人ではなく、性根は腐っていないんだろうな~と思った。ニーマンとの偶然の再会で彼の指導の信念を初めて聞く。行き過ぎた感はあるけれど、ジャズでその名を歴史に残す人を育てるという意味では、間違ってはいない気がする。だからこそ、ニーマンも再び同じ舞台に立つことに……

ここからは、観たことのないようなクライマックス。フレッチゃーの行動は、これまでの流れを考えると私は指導の一貫だったのかなと。ニーマンもそれに応えるかのようにすごい成長を見せる。前のめりになって固唾を呑んで見守った。

ビックバンドで、こんなに長いドラムソロってないでしょ❗とまた突っ込みたくなったけど、もう、2人には観客も他のバンドメンバーも見えておらず、2人だけにしか分からない世界がそこにあったんだろう。途中の無音区間はゾーンに入った感じなのかな?極めた者だけが味わうことの出来る狂喜の陶酔。私のような凡人には一生味わえない感覚だろうから、こういう映画を通じて垣間見れるのは楽しかった🎵

追記 : てっきり「セッション」が原題かと思っていたら、“Whiplash”なんですね。あの曲名であり、意味はムチ打ち症(ドラマーの職業病)💡
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