友ニ

セッションの友ニのネタバレレビュー・内容・結末

セッション(2014年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

 衝撃の問題作。初めて観た時は、あまりのスパルタっぷりにしばらく放心状態でした。

 師弟対決モノとして斬新でした。しかもジャズをダシに使ってこういうスパルタ根性モノを作るというアイデアにやられました。
 公開当時は、いろいろと物議を醸しましたが、考えてみればジャズの即興演奏には喧嘩的な要素が大いにありますからね。                      improvisation からinspiration ということでしょうか

 若い時にしか味わえない夢や希望、バイタリティ、家族との葛藤、そして挫折感。  
これらの要素がうまく絡んで、面白い切り口と相まってストーリーに深みを持たせています。
 ミュージシャンの演奏シーンのカット割りもかっこいいです。

 なんと言ってもJ.K.シモンズ演じるフレッチャーの迫力、存在感が凄まじい。顔が妖怪のようです。
 ありえないパワハラ&スパルタ。
その関係に日本人的な義理人情さはない。あくまでドライなアメリカンスタイル。『良いミュージシャンは練習こそがすべて、徹底的なスパルタで鍛え上げてこそ到達できる境地がある。』と。

 悲しいかなこういったやり方に共感する方もいるでしょうね、ある年代より上の方々には。
 なまじっか、そういう育てられ方をされて、なおかつある程度の成功体験があるだけに、余計にタチが悪い。

 閑話休題。
 ラスト、フレッチャー、やることが姑息だなぁっていうのは横に置きつつ、『よーし、よーし、もっといけー!』的な表情をする中、一心不乱に叩いているアンドリュー。なんとも微笑ましくも複雑な感情を抱いてしまいます。
 フレッチャーの眼差しがそれまでと違うものに変わって、やっと認めてくれたのか?疑問が残ります。
 『これで良いのか?君はまた騙されているだけだじゃないのか?』

それでもいいのでしょう。アンドリューのやり切った充足感がこちら側にも余韻として残ります。
 
友ニ

友ニ