ザリくん

セッションのザリくんのレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
3.8
初見は話が身勝手に感じノリ切れなかったが同監督2023年公開作品「Babylon」を鑑賞してからはこの欺瞞に満ちた身勝手こそカタルシスを生むのだと認識を改めた。

以下初見時感想
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恐ろしく悪質な夢追い映画である。
「夢を追うためにはそれ以外のあらゆる生活、社会関係、人間性を捨て狂気の茨道を歩まねばならない」という分かりやすいテーマに見せ掛けた、陶酔と破壊的な欺瞞。ジャズが本当に好きな人は見てらんないと思う。

強迫性音楽系全体主義人格障害者のハゲ
強迫性音楽系犠牲主義人格障害者の猿ガキ
「セッション」という邦題は名ばかりで、周りに合わせる気のない グルーヴを忘却した2人が繰り広げる行為、それは
ジャズの悪魔に魂を売るどころか己自身が悪魔となり、魂で叩く!怒鳴る!モラハラ祭りをする!

偉大なジャズドラマー、バディ・リッチを目指しているはずなのに脳内に流れているのは昭和の象徴、巨人の星のテーマ。根性論、オーバーワーク上等。

サッチモ、チャーリーパーカー、ジョージョーンズのような偉大な演奏家を生み出したいはずなのに、
はだしのゲンの父ちゃんの「麦は踏む度強くなり大きな実を成らせるんじゃ」理論を拡大解釈し粉々になるまで麦を蹂躙するハゲ。
ピアノもろくに弾けない自我クソデカ指揮者はコンサートマスターに仕事を譲って音だけ聞いていて欲しい。

「岸辺露伴は動かない」の「ザ・ラン」のように夢と手段と自我がぐちゃぐちゃになっていく主人公。
文字通り血のにじむ練習、練習、練習。練習の方が本番より大事なのでポカしまくる。あのおっちょこちょい要素は要るのかよく分からなかった。コメディがやりたいのかな?

でもラスト15分の演奏は言わずもがな最高。

我が子の憑依されたような迫力を目撃して青ざめていく父親と、どんどん嬉しくなっていくニヤつきハゲとの対比が良かった。今まで自分を陰ながら応援してくれた男とずっと立ちはだかっていた男の立場があそこのライブ感だけで逆転する。それ程のエネルギー。
作中のドラム演奏はカメラの振りが打楽器のカッコ良さを最大限引き出しており、最後の演奏はストーリーと照明も相まって素晴らしいステージになった。もうこれで満足。直後に退場になっても知らん。
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