エンポリオ

セッションのエンポリオのネタバレレビュー・内容・結末

セッション(2014年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

他の追随を許さない圧倒的臨場感。
ジャズの世界で高みを目指す青年と教師のお話。上辺の設定だけに目を向ければ他にも同じ様な作品が出てきそうだがしかし、この映画と同じカテゴリーに分類すべき作品がいつまで経っても浮かんでこない。ありがちな甘えの要素がどこにも見受けられず他ジャンル他作品を漁ってもあの空気感は味わえないと思ってしまう。それ故観る者によって好みがはっきりと分かれる作品なのではないかと感じた。
鑑賞している間幾度となく息を呑まされた。人間の笑顔が放つ和やかさやこみ上げる怒りの表現として読み取れる血などによる緊張と緩和が絶え間なく繰り返され画面から目を離すことを片時も許さない圧を強く感じた。
作品全体を取り巻く狂気におかしくなりそうであったが気が晴れる展開も用意されていて物語としての気持ちよさが保証されていた。しかし私たちにはそのように見えていても彼らにとっては高みを目指しているに過ぎないというギャップ。私はここに音楽というものをこの物語の軸に据えた醍醐味を感じた。
音楽でもアメフトでも学業でも、対象が何であっても、万人にとっての起爆剤となり得る映画なのではないかと思った。
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