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セッションのHIROのレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
4.6
世界的ジャズドラマーを目指して名門音楽学校に入学したニーマン(マイルズ・テラー)と伝説の鬼教師と言われるフレッチャー(J・K・シモンズ)の姿を描いたお話。

最高に熱くなれる素晴らしい作品でした\(^o^)/

僕はジャズは全く詳しくないので劇中で追求されているドラムのテクニックなんて何一つ分かりません。
ジャズに精通した評論家の「速さとテクニックを追い求めるだけのドラミングはおかしい」というような酷評もまぁ一理あるとは思いますよ。
でも僕は単純にこの作品は面白いと思うし、大好きな作品になりましたよ!!!
様々なアクション映画におけるバトルシーンよりも熱いバトルが観れる作品じゃないですかね(^o^)

何が凄いってやっぱりJ・K・シモンズ演じるフレッチャー先生。
彼の口から発せられる罵倒や、もはや顔芸の域である表情はとんでもないですよね。
人種的な罵倒など、よくもまぁあんなにもボキャブラリーがあるものだなと感心せざるを得ませんでしたよ( ゚д゚)
フレッチャー先生に罵られ、涙を流すニーマンは本当に不憫でしたね(T ^ T)

偉大なドラマーになることしか考えていないニーマンと生徒を潰すことしか考えていないフレッチャー先生。
フレッチャーはまぁクズですよね。
でもニーマンもなかなかのものだと思いますよ。

ニーマンの方から言い寄って付き合い始めたニコル。
初デートの時から何となくニコルの事をバカにしている雰囲気で、本当に嫌な奴なんですよね。
元々友達も1人もいないような奴なので何らかの欠陥があることは間違いないんでしょうけど、フレッチャー先生の指導を受けるうちにニーマンのクズ成分が一気に純度を高めていく。
「偉大なドラマーになるにはテメエが邪魔なんだよ、この雌豚が!!!」と言わんばかりにニコルを一方的に振るニーマンは正真正銘のクズに仕上がったんだなと思いながら観てました(´Д` )

鬼教師フレッチャーは指導の時以外は結構優しいから、異常なほどに厳しいのは生徒のためなのかと始めは思ってました。
でも絶対そんなことはないんでしょうね。
彼は生徒を潰すことしか考えていないことは明らか。
そのくせ普段は優しいからより悪質。クズの中のクズですね。

この映画はフレッチャー先生とニーマン、言わばクズとクズとバトル映画なんですよね!

偉大なドラマーになるために常軌を逸した練習に没頭するニーマン。
文字通り血の滲むような努力をして、ドラムに血が飛び散る様はもはや狂気。
自分がのし上がるためにはいかなる手段を用いてでも他人を蹴落とそうとするニーマンにはゾッとしましたね。
フレッチャー先生にも言えることだけど、人としての道を外れ常識や倫理を捨てることが偉大になるための条件なのかなぁと思ったりもしましたね。
確かに偉大な人ほど何かが欠落しているような気もします。

徹底的に凄惨な仕打ちを受けてもただ1人諦めることのないニーマンの執念たるや、感心を通り越してもはや恐怖を覚えましたよ(´Д` )
虐められても叩かれても罵られても立ち上がり、次第に反発するニーマンに対して行うフレッチャー先生の復讐。
フレッチャー先生の異常性が最大限に発揮されていると思います。
そしてその復讐に対してさらなる復讐を仕掛けるニーマン。
数あるクライマックスの中でも今作はとんでもないエネルギーを秘めていますね。
貧乏な暮らしから抜け出したいという願いや恋人を失った悲しみ、そしてフレッチャー先生への憎しみ、その全てをぶつけひたすらドラムを叩くニーマンの姿は圧巻。
復讐と復讐が交差し、歪んだ信念がさらなる狂気を生みながらも超えてはいけないような一線を越え、そのまた先の領域に到達してしまうニーマンとフレッチャー先生。
もうこの2人の世界には誰も入り込む隙はなく、もはやこの2人の間にあるのはただひたすら音楽に陶酔すること。
全てが繋がる瞬間、とんでもないカタルシスを得ることができました。

テンポと勢いにひたすら惹きつけられたし、僕はもう興奮しすぎて椅子にもたれることすら忘れていましたよ( ゚д゚)

僕は出来れば褒めて伸ばされたいタイプなのでフレッチャー先生の指導は全く理解できないし、なんせ僕は「Good 」「Job 」の2文字が大好きですよ(≧∇≦)
とにかくデイミアン・チャゼル監督やニーマン役のマイルズ・テラーとフレッチャー役のJ・K・シモンズにただただ「Good 」「Job 」と言いたくなりました\(^o^)/



2015-60
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