もちもち

アバター:ウェイ・オブ・ウォーターのもちもちのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

前作から約10年後のパンドラ。ジェイクとネイティリの間には3人の子供達が生まれ、亡くなった研究者グレースのアバターから生まれたキリも養子として迎え、オマティカヤ族の仲間達と暮らしていた。再び現れた人類達との戦いの中で、ジェイクは一族と家族を守るために森を離れる決断を下す。そして海と共に暮らすメトカイナ族の元に身を寄せたジェイク一家だったが、クオリッチ大佐率いる人類の魔の手が再び追ってくる。前作から13年の時を経て公開された今作は映画館で鑑賞。まずもってやはり圧倒的なのは映像美。ナヴィとパンドラの動植物の美しさもパワーアップし、今作ではタイトルどおり海の表現が半端じゃなかった。ほんとにパンドラの世界が存在するかのように感じさせられるリアルさ。果てしなく重ねられた奥行きの深さと細やかさが同居する水中。体の自由を奪う激しい波からゆったりと肌を撫でるような優しい波、ぴちゃぴちゃと跳ねる水に派手に上がる波しぶき。ありとあらゆる海と水の表現が細緻にきめ細かく映し出され、間違いなくこれまで見た映画の中で水のクオリティはNo.1。特に水中に差し込む光のリアルさもえげつなかった。水中を泳ぐ生物達もカラフルで美しく、画面いっぱいに細かく作り込まれた様を見ているだけでも楽しかった。ほんとにドキュメンタリーを見ている様な感覚になるほどのリアリティ。ジェームズ・キャメロンの海への愛と情熱が溢れ出ていた。水中モーションキャプチャを利用して撮影しているだけあって、水中での動きも自然すぎて全く違和感がなかった。そんな美しい映像と共に、今作では「家族」というものをメインテーマに据えたストーリーになっていて、感情移入しやすくシンプルに楽しめた。前作と同じくプロットは割とベタなんだけど、壮大な世界観のおかげでチープさは全くないし、エンターテイメントとしてのバランスが良い。しっかり者で優秀、面倒見も良い長男のネテヤム、そんな兄に劣等感を抱き、家族の中で孤独を感じているロアク。この2人を中心に展開される物語は哀しさとそれに伴う成長を含んだ感動的なもので、特にネテヤムの死は泣きそうになった。弟を庇う心優しいネテヤムはもっと見ていたかった。ジェイクではなくあえて子供達に主軸を移すのは良い判断だったと思うし、これからの壮大な物語を期待させてくれる。謎の残るキリやクオリッチ大佐の息子スパイダーも程よくストーリーに絡んできて厚みを出している。ナヴィとして蘇ったクオリッチ大佐は相変わらず悪役として魅力があったが、スパイダーとの関係で今後も悪役のまま進んでくのか少し謎。メトカイナ族の面々は意外と個性が薄めだったけど、ネテヤムやロアクとの関わり方は思春期っぽくて好きだったし、今後更に深掘りされて魅力的なキャラクター達になっていくのかな。今回重要な存在となった鯨の様な生物トゥルクン(見た目が鯨すぎるけど)は丁寧に生態や性格が描かれていて、こちらも今後良い形で絡んできてくれるはず。ストーリーに多少突っ込みどころはありつつも、壮大で優美な世界観に見惚れ、最後の方は「タイタニック」を彷彿とさせる緊迫感もあり、3時間という長尺に飽きることはなく最高の映像体験をさせてくれた。個人的に序盤の列車を襲うゲリラ戦のシーン好きだった。トゥルクン漁のシーンは反捕鯨の印象が強かったから日本人は不快に感じる人も多いかも。そういう文化的な事を抜きにして考えれば、ナヴィ達とは真逆の資本主義的な人間の残虐さを印象付けるのに凄く効果的なシーンだなと思った。
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