千年女優

海にかかる霧の千年女優のレビュー・感想・評価

海にかかる霧(2014年製作の映画)
3.0
漁船チョンジン号の船長を担う中年男で、不漁によって資金繰りは芳しくなく故障も直せずにいるチョルジュ。新人のドンシクを含めた船員たちの生活を守るために朝鮮族の中国からの密航に手を貸すことになった彼らが、嵐の中で縁起の悪さを理由に断ったはずの女性を含めた密航者たちを乗せたことで直面するトラブルを描く犯罪映画です。

韓国映画史に残る『殺人の追憶』を手掛けたポン・ジュノが脚本に加えてプロデューサーとして2001年に実際に起こった事件をモチーフにした戯曲を脚色した2014年公開作品で、『殺人の追憶』で脚本を務めたシム・ソンポが監督としてキム・ユンソク主人公の波乱の物語を盛り立てて映画デビューの東方神起ユチョンが新人賞を席巻しました。

後に同じ韓国人監督のキム・ギドクが手掛けた『人間の時間』にも通じる船内の混沌を描く物語で、隔離された環境で生まれる「リヴァイアサン」にあって剥き出しになる人間性を描きます。そもそも発端が裏取引にあるためどこまでテーマに迫れているかは微妙なところですが、重々しい雰囲気とキャストの熱演で説得力を演出する一作です。
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