佐藤でした

1001グラム ハカリしれない愛のことの佐藤でしたのレビュー・感想・評価

3.8
ノルウェー国立計量研究所で働くマリエはある日、研究所の重鎮である父親が病気になってしまい、フランスで行われる国際セミナーに出席することになる。ノルウェーのキログラム原器を抱え、パリを訪れたマリエはある男性と出会い…。

フランスの国際度量衡局に保管されている【国際キログラム原器】がすべての基準でして、【これが1kgです!】という円柱形の金属塊なんですけど。

1889年に、その複製が40個つくられ、世界各国に配布、以降それぞれに保管されているんです。どれも、2重の気密容器で真空中に保護された状態で保管されています。

これらの原器は約40年ごとに特殊な天秤を用いて国際キログラム原器と比較されることになっていて、
その箱を世界各国の人がそーっと運んでくるサミットのようなものにマリエも参加した、というわけです。

これ「キログラム原器です」と言われても一般人にはハテナですから、マリアのことは【なんやわからんがとても重要そうな箱を慎重に運ぶ人】にしか見えません。そのため、空港の保安検査場とかでちょっとモタつくマリエです。

世界各国の人たちが、みんな各空港でモタついてからフランスの研究所に集まったのかと思うと、ちょっと笑えます。

そんな普段目にすることのない世界のことを教えてくれるのは「キッチンストーリー」のベント・ハーメル監督。

映像の視覚的にはとにかく美しいブルーが目を引きます。

2人乗りの電気自動車
配布された傘
病室の壁
タンクトップ
ダッフルコート
訪ねてきた人の服
花瓶の花
早朝の景色

その他もろもろブルーの連続。

夫に出てかれたばかりの家の閑散とした家具の配置とか、ワンショットが撮りたいがために探し当てたであろう素晴らしいロケーションのカフェとかもう最高で。
相変わらずオシャレで、相変わらず良いこと言う監督だなぁとまた好きになってしまいました。

1kg…つまりこれは重さの物語であり、
それに付随するラブストーリーでもあり、
人生の最期に纏わるお話でもあります。
あの、魂の重さと言われる【21g】という
キーワードも出てきます。

その“重さ”が“見える”瞬間、
そしてタイトルの“1001g”の意味がわかるシークエンスはやはり、ぐっと来ました。
佐藤でした

佐藤でした