全編、台詞なし。
美しすぎる風景に、美しすぎる少女。
顔力のある男優達。
繊細な感性を刺激してくる研ぎ澄まされた映像美。
何も知らずに観たため、想像力が爆発し、脳がフル回転。
アフガニスタン辺り?20世紀?ソ連?
何もかも想像していく。
実話なのかSFなのか
セリフがないことが逆に、音、影、音楽、映し出される全てのもの、何もかもに命を感じ、意味を探す。
想像力が自由に羽ばたき、大自然の中での時に身を委ねることができる。
かつて観た、モンゴルの遊牧民を描いていた名作「天空の草原のナンサ」を彷彿とさせる時間の流れ。
何と言う至福。
干された2枚のシャツにこんなに心が奪われるなんて。
そこにタルコフスキー的な不穏な影が見え隠れする。
そしてラストに分かる表題の意味。
行き場のなくなった心が叫ぶ。
爆発していた想像力が閉じる。
それは、この世界で起こった真実。
この映画が描いた美しさが、刺さった破片のように残る。
それは自分達にも未だに起こり得る可能性だから。