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花とアリス殺人事件のtakatoのレビュー・感想・評価

花とアリス殺人事件(2015年製作の映画)
3.7
 面白い技術!だけど…な作品。岩井監督ねぇ~、オサレ映画の人でしょ、アニメの演出とか出来んのかねぇ、と侮っていたが興味深い。リアルな動きだが、「不気味の谷」状態に陥らず、ちゃんとアニメ的な絵が生き生きと動く喜びに満ちている。背景も緻密に書き込んだタイプではなく、水彩画のような滲んだような味わいが凄く良い。キャラも可愛くない可愛さというか、キビキビとした二人の魅力がしっかり描かれている。

 だが、問題はストーリー。これは予想通りというか、あまり
メリハリがない、起承転結やドラマがあまりない薄味っぷり。映像としての快楽も、ストリートの面白さと組み合ってこそハーモニーを奏でることができる。些細な出来事でも、ちゃんとドラマを描くことは出来るだろうし、出来ないなら作劇をもっと勉強すべき。アニメでも日常系(笑)という名の下に、作劇を放棄することを日常と勘違いしているような作品は大嫌いである。のんびり、ゆったり気味でもしっかり起承転結ある物語や、シュールな可笑しさといった魅力がなくては見てて辛い。ただ、可愛い可愛いだけなら子猫の動画でも見てればいい。
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