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天使のはらわた 名美の消費者のレビュー・感想・評価

天使のはらわた 名美(1979年製作の映画)
2.8
・ジャンル
ポルノ/ドラマ/悲劇

・あらすじ
一流女性週刊誌の記者として働く名美は「強姦その後」と称した強姦被害を受けた女性の話を扱う肝入りの短期連載に力を入れていた
その甲斐あって記事は好評を博したが取材は毎回半ば強引な物であり被害者が直接証言を承諾する事はほぼ無し
そして名美は取材で強姦被害により転落の末にストリッパーとなった蘭という女性と出会い彼女の被害者故の目付きに魅入られ、より取材にのめり込んでいく
そんな彼女に興味を抱く男、村木
彼は3年前から名美と同様の内容の取材を続けてきたエロ雑誌の記者だった
名美は村木と蘭の働く店で顔を合わせていおり彼女もまた彼に引っかかる物を感じていた
その後、名美は強姦被害後に退職し主婦として子育てに精を出していた女性、良子と子供の姿を盗撮した所を村木に注意された事をきっかけに距離が近付いていく
やがて名美は彼が記事をボツにされ続けながらも取材を続けていた背景を知る事となり、共通の取材対象である看護師の美也の手で名美もまた地獄へと突き落とされる事となる…

・感想
日活ロマンポルノの1作として製作された「天使のはらわた」シリーズの3作目
今作も人物像などは違うが名美と村木を描いており別の世界線を描いた様な話となっている

前作から引き続き強姦被害によって人生が歪むと共に心が壊れてしまう姿を描いている
しかし前作で名美が強姦によって自暴自棄の末に色情狂となってしまったのに対して今作は自分を汚れた存在と捉える様になった末に自らを救った村木を半狂乱で刺してしまうという異なるベクトルの展開となっている
そしてどちらも現実に起きる性被害者の心理の変化として生々しい
それをポルノ映画で描いているというのがまた興味深かった

ただ名美のキャラクターとしては前作の方が個人的には刺さった
絶望を性で埋めていく虚しさが見事に表現されていたのがその理由
それに対し、今作の名美は一人称が自分の名前だったり変にフランクで浅いノリ
勿論、後に芽生える狂気をより強烈に見せる為というのもあるんだろうけどそれなら被害者の心情とちゃんと向き合わず記事のネタとしてしか見ない姿さえ表現出来ていれば十分だったんじゃないかと

そこと性描写のヌルささえ除けばまぁそれなりに良い作品だったかな
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