2014.10.25 @ 27th TIFF
(英題：Flowers)
思慮深いドラマだった。差出人不明の贈花を巡り、変化する女性たちの繊細な心情劇。花束が虚無を埋める尊さでありながら、方やそれまで気づきしなかった喪失感を与える欺瞞の二つの側面を持ち合わせる巧妙さ。互いにすがるように頑なに信じる想いも、時間の中で残酷に変わり果ててしまう様を描きながらも、たどり着く慈しみには、たとえそれが純粋な気持ちではなくても美しさすら感じる。なんて人間臭いドラマなんだ。
花を手向けることに尊さと欺瞞を揺らすことでサスペンス的なエッセンスを持ち合わせながら、余韻の残る感慨深いヒューマンドラマ仕立てていて良作だった。全体的には低いトーンの色調でありながらところどころに差し込む光の色彩が暖かい。
