ノラネコの呑んで観るシネマ

ルイの9番目の人生のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

ルイの9番目の人生(2015年製作の映画)
4.2
脱ホラー中のアレクサンドル・アジャは、前作の「ホーンズ」から作風も変わってきてる。
何度も事故に遭い9歳で9度死にかけ、遂に昏睡に陥ってしまった少年ルイ。
何が彼の身に起こったのか?昏睡専門医がルイの人生と家族の秘密を紐解いて行く、ミステリアスな心理劇。
とは言っても、事件の真相そのものは早々に想像がついてしまう。
映画の核心はそこに至るまでのプロセスと、ルイ自身はどこまで知っていたのかという謎。
面白いのは、昏睡状態をある種の精神的な待避の場と捉え、超自然的なコミュニケーションを組み込んでいること。
心理としても状況としても真逆なんだけど、母性に対する少年の深層心理を紐解くという意味で、全体的には「怪物はささやく」にちょっと近い印象。
本作でルイを導く“怪物”の正体も、違う意味で切ない。
これは母親役のサラ・ガドンの、キャスティングの勝利だな。
凄い美人なんだけど、何時もなんとなく仮面感がある。