ヒロ

ナイトクローラーのヒロのネタバレレビュー・内容・結末

ナイトクローラー(2014年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

『人が破滅する最期の瞬間に現れてカメラを回すだけだ』
最期のこのシーン、ゾッとしましたね〜。彼に限らず凶悪犯罪系の報道カメラマンの闇といいうか。
普通の人は良心や倫理観の最後の一線は越えないんですが、ルイスはサイコパスなんでしょうね。全然躊躇がありません。先輩同業者の方がまだそこまでしないだろな…と。
センセーショナルな映像を撮る事に対して、常軌を逸脱してゆきます。目がガンギマリなんでその狂気ぶりが気持ち悪さも感じます。(なんか既視感あるな…と思ったら、トイ・ストーリーのウ◯ディですね…)スクープを追ってる時はアドレナリンが出まくってるんだろうな、とも思いますが。
知能が高そうで、最初人当たりが良いキャラなのも、脚本的にもルイスがサイコパスって設定があるのかなぁ…って思いました。
IQ高めのサイコパスの人は、人当たりが良いそうです。テッド・バンディ然り。

ルイスは悪魔の所業で成り上がってゆくわけですが、最後のシーンなんか、この所業とリンクして死神の様でゾッとした次第です。
全部を通して視聴すると、ルイスという主人公に全く共感できないし、モラハラクソ野郎なので、なんか痛い目見ろや!って思いながら見るんですが、何も痛い目みないで成功して終わります。
悪人がのさばって、善人が利用されて終わりって感じです。そこが何かなぁ〜…って。消化不良。
視聴率主義のマスメディアと、センセーショナルな物ばかり求める視聴者の、他人の死や不幸がエンターテイメントの様な物になってる怖さを現し(だからモザイクありとは言え、衝撃映像放送に視聴者からクレーム来てる的なシーン無かったですよね…)、ルイス自身もその巨大な化け物に飲み込まれた、歯車の一つに過ぎない…みたいな終わり方してくれると良かったなぁ…と思いました。
ラスト、ルイスが会社を立ち上げて、新人スタッフと夜の街に出てロングカットでエンディングに入っちゃうんですが、エンディングに入る前に、警察無線の声とテレビ局の人間が視聴率云々や、あのテレビ局より先にスクープを!とか言っている声とオーバーラップさせて、エンディング曲に徐々に入れ替えるみたいな終わり方とか良かったなぁ…と。その方がより怖いし…。人の社会全体の業が深い感じもします。
1個人の話としての終わり方だと、結論悪人が成功して終わるので、やっぱり後味が良くないんでしょうね。
ルイスという悪の、更に上に化け物がいる、みたいな社会の恐ろしさ、みたいなのをプラスすると良かったなぁ〜と、個人的に。
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