atsuki

ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたちのatsukiのレビュー・感想・評価

3.9
【奇妙さはその人の強み】

楽しいぞ…
クッソ楽しいぞ…

プロットルは「ハリーポッター」が「XMEN」している。その中で露骨な「シャイニング」や行き過ぎな「タイタニック」やほんわか香る「ターミネーター」臭などなどごちゃごちゃしてて本当に楽しい。ティムバートンのアクションはね…とか少し説明が多かったりとか難点は確かにあるのだけれど楽しい事に変わりなく、ワクワクドキドキでどこまでも楽しませてくれる。

この楽しさを生んだのはやはりティムバートンの世界観もあるのだが、脚本に携わったジェーンゴールドマン力なのかなと。ジェーンゴールドマンというと「XMEN」シリーズや「キックアス」に「キングスマン」と言った…ね?そういう事です。

子供が「ねぇねぇお母さん、この映画見に行きたい!」的なノリで行くと少し違うし、トラウマになり兼ねない意外性もある。というのもティムバートンのダークファンタジーで、しかも「ダーク大盛りで!」な展開や内容な為である。評判で「この映画全年齢対象でいいの?」と良く聞いていて、実際見るとなるほどなと理解できる反面、頭の中にあったその言葉は逆説的であるんだなと感じた。

その全年齢対象ではない様な内容は逆説的に言えば「全年齢対象な内容」であるのだと。つまり、この映画と観客(特に子供達など)との関係で体験する奇妙さはいわゆる「E.T.」の様な出来事なのではないだろうか。確かにグロやゴアな内容はあるし、ダーク過ぎる気もするが、劇中で子供達が成長する様に観客もこの映画を体験する事で体験は経験になり、経験は成長に繋がる。

「チェーホフの銃」という言葉がある。これは劇作家アントン・チェーホフの残した名言で「物語の前段で登場させた拳銃は、後段で発砲されなければならない」というもの。言ってしまえば伏線である。警官がある映画に登場したとして、その警官が拳銃を持って登場したのであれば、のちに拳銃の引き金を引かなければ意味をなさないというもの。この映画はそのチェーホフの銃の様に出てくる物全てが意味を持ち、伏線を回収していく様にのちに使われる。それにたくさん登場する奇妙な能力を持った子供達が出てくるのだが、戦闘シーンでは一人一人の能力がしっかりと生かされるのは良かった。子供達というものを存分に使う様に子供達らしい戦い方は本当に可愛くて最高だった。

マイノリティだから何なのだ。人と違うから何なのだ。周りから見たら奇妙に見えるかもしれないが、奇妙でない人なんていない。みんな違ってみんないい。だから一人一人個性や特徴がある。そこで人と違うからどうこうではなく、その違うことこそその人にとっての強みである。そんな普遍的なメッセージをティムバートンのダークファンタジーな世界で彩られて伝えられる。

今作ではある理由でタイムリープしながらミスペレグリンと子供達は生活している。この世界観に浸り、受け取れるメッセージ、そして成長する我々観客。そう感じた時にこの映画を何度でもタイムリープして見たくなるのだ。
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