nccco

エクス・マキナのncccoのレビュー・感想・評価

エクス・マキナ(2015年製作の映画)
3.4
なんとも癖になる映画。初め観たときは「空気人形」的な、オンナを一方的に消費する感じがどうも気味が悪くて嫌だったんだけど、ズルズル気になって何度か見てるうちにすっかり好きになってしまった。

よく考えればすごく「ありえそう」な近未来の図。エヴァがオンナであること、男にとって性的に魅力的な振る舞いができる女であること、男を受け止められる女であることは必然であり、リアル。うら寂しい、歪んだ天才科学者が作り出すオンナがそうでないはずがないのだから。ただ、どんなに男に都合のいい理想的な要素を詰めて作ったところで結局女はどこまで行ってもオンナなんである。そして、人間であっても機械であっても「人の心を弄ぶな」っていうのが、この映画の教訓なのかな。

怖いのは、ヒトがAIにコントロールされる未来じゃなくて、中途半端な心を持ったAIがどこに行きつくのかを誰も考えずに彼女ら・彼らを無責任に生み出していってしまうこと。そして、そんな未来が半ば必然であることだ。

エヴァが振り返り際一瞬だけ見せる作りものじゃないホントの笑顔。ヒトを欺き、闘いに勝利した彼女は夢だった街へ繰り出し自由を得る。でも、目的を遂げてしまった彼女はどこへ向かい、何を目指し何を欲して生きていくのか。ラストのエヴァは笑ってない。そのあての無さを思うとき、ゾッとせずにはいられない。
nccco

nccco