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キャッツのundoのレビュー・感想・評価

キャッツ(1998年製作の映画)
4.5
ほら、新しい1日がはじまる。

最も成功したと言われるミュージカルのひとつ。オリジナル・ロンドン・キャストのスタジオ録画による、いわゆる「映像版」

まず、舞台用のミュージカルなので、当たり前だけど劇場で観るのが一番。自分は劇団四季版を過去に2回鑑賞。回転舞台など、すべてが計算された演出やベテラン観客の心得た反応などが楽しめ、多くの方が幸せな時間を送れると思う。

それでも、映像版には映像版の良さがあると思う。以下、特徴。

まず、カメラワークが徹底されているので、そのシーンで一番観るべきところが的確に映される。とにかく猫さんたちの表情が凄いので、これはとても良い。
映らない間も完璧に演技しているであろう猫さんたちの姿は見えないけど、しょうがない。

それから、映像版ならではのCG演出。
と言っても、世界観や舞台感を壊すほどではない。

気に入ったのは、劇場猫ガスがかつて演じた地獄の王、ファイヤフローフィドルの幻影(グロールタイガーは登場しない)が現れるシーン。

逆に残念だったのは、ミストフェリーズが変なビームみたいなのを出しまくるところ。この演出のせいなのか、最大の見せ場の一つ、魔法のターン(連続フェッテ)をやらない!何回も見直してしまいました。期待している人は注意!

以上が映像版の特徴。

ストーリーはシンプルでありながら、どこか示唆的。年に1度、天上に昇る猫が選ばれる夜の、猫たちの舞踏会の様子が描かれる。

互いに競争している風でもなく、こんな猫がいるよ!と自薦他薦問わずに次々と紹介されていく。
長老猫や名士の猫、指名手配されているわかりやすいのから、魔術猫や鉄道猫といった、なんのことかよくわからない猫まで。とにかく個性的で楽しい!ラム・タム・タガー様の圧倒感は異常。モフモフ度は全体的に低め。

歌と踊りのレベルの高さは言うに及ばず、名曲密度の濃さで惹きつけられ続ける約2時間。クライマックスで聴こえてくるのは、エレン・ペイジが歌いあげる鳥肌ものの「メモリー」!

というわけで、舞台を観るのは映画に比べると若干ハードルが高いので、キャッツの世界観を楽しむのにはこれがてっとり早い。舞台前の予習として観てもいいかも。

一流だから最高なのではなく、最高だから一流なのだということを改めて感じさせてくれる作品。
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