Satoshi

神々のたそがれのSatoshiのレビュー・感想・評価

神々のたそがれ(2013年製作の映画)
1.0
あらすじはこんな感じ。
地球によく似たその星では、ちょうど800年前くらいの文明が起きていた。
しかしその文明は知的逆行が起きていて、賢者、学者たちは殺され、大学も打ち壊されている。
その星に地球から調査団が派遣され、主人公の男はその星で神として崇められている。
神となった男、人によく似た者たち、彼らの苦悩。

超面白そう。予告もめっちゃいい。無骨なラッパが響いてモノクロの得体のしれない世界。こら見るしか無いで。
と気軽に足を運んでしまった自分を、そうさせた運命を、映画という産業自体を呪いたくなるほどの嫌な映画だった。

つまらないとか、くだらないとか、そういうこっちゃ無い。
グロいとか、悪趣味だとか、そういう表層的な事でもない。
映画が娯楽のものだと思ってたのか?と監督がぶっ放してくる精神的侵略の3時間。
こんなにぐったりしたの初めて。

どんな場面でも人物がカメラの前に密集している。カメラには常時何かが写りこんでいて、もうずっと鬱陶しい。
しかも何故かカメラが擬人化されているのか、出てくる人間はとにかくカメラを意識している。
その世界では学者は徹底的に殺されていて、出てくる人間はみんな蛮族というか、
人間的知性を放棄したほぼ動物に近いようなキャラクターばかり。
だからカメラに対してつねに、調子こいたガキみたいなちょっかいをかけてくる。
睨みつけたり、奇声をあげてみたり、切断した鳥の骨をぶらぶらさせてみたり。
主人公が誰かと会話してる間もずっと、いきなり木の棒を顔に突き刺してみたり、
煙草の煙を吐いたり、指なめたり、もうずっとこんなの。
鬱陶しくてしかたない。主人公が何回も邪魔だ消えろ!って叫んでも、
うへえーとか言いながら常に寄ってくる。
この時点で不快感マックス。

そして画面を埋め尽くす不潔な世界。
風呂に入る文化が無いのか、臭い臭いとみんな言う。
衣装も髪形もほんとに不潔。
食ってるものもめちゃくちゃまずそう。
そして主人公含めてとにかく口に入れたものを吐き出しやがる。
唾液とか酒とか何もかも。
3時間の間で千回ぐらいぺっぺしてた。
神である主人公には他のものがとにかくなついてて、
指とか足とかなめたりなぶったり、泥塗られて喜んだりと、もう汚くてたまんない。
そもそもお前らしゃべる時顔近すぎなんだよ。ふざけんな。
全裸の初老がぽこちん弄りながら小躍りしてるのが画面の隅で映ってたり、子どもが死体のケツからうんちをスプーンですくって横のおっさんの死体の口に掘り込む。とか、内臓どろどろの死体の山とか、それ無修正で映す意味あんのかよ。ねえよ。苦痛以外ねえよ。

ストーリーおよび会話も意味不明。
いったい何の話してるのかもさっぱり不明。
主人公の名前や設定ですら結局よく分からない。
会話になってんのか?全員断片的な呟きを交換してるだけみたいな。
その星の専門用語もいっぱい出てくるけど解説はいっさいされない。
人物の関係性ですらよくわからん。
助けてみたり殺してみたり、結局ドンって誰なのよ。
その割には会話量もすっごい多い。

撮影風景がいっさい想像できない。
本当にこういう星があって、こっそり潜入して撮ってきましたって言われても信じる。
ハネケのファニーゲームみたいにあえて不快な気持を想起させるとかそういう意図もない。
何かを掘り下げたりとかそういう描写の意図もよく分からない。
ただあるがままに知的退行が起きてる人間の集団を撮りましたって感じ。
そこに嘘は無いからこそ、観てて本当にどんな感想持っていいかも分からない。
これが30分だったら絶賛した。観たことない映像表現だから。
なんでこれが3時間なのよ。拷問だ。飯も喉通らなかった。
何を書いても書き足らないけど、具体的な感想が全然出てこない。
後半はずっと時計仕掛けのオレンジの拷問を思い出してた。
頭固定されて垂れ流される不快な映像。
映画で人を壊せるんだな。その可能性は知れた。
でも二度と観たくないし早く忘れたい。
Satoshi

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