ブタブタ

シビル・ウォー/キャプテン・アメリカのブタブタのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

「映画・小説に対してここがおかしい、ここがつまらないと、粗探しばかりしてる人は何れ一切創作物を楽しむ事をしなくなる」と、その通りだと思いますし、基本映画はケチつけず面白い所を見る楽しむと言う姿勢でいるのですが『シビル・ウォー』を見たら『バットマンvsスーパーマン』のここがおかしい、つまらない、陳部で安っぽい話しだったなと言う事が嫌でも際立って思い出されてしまいモヤモヤするのですが。

バットマンが闇であるのに対してアイアンマンは言わば「陽」の存在のバットマンで、キャプテン・アメリカは神ではなく「人」であるスーパーマン。
この2人がいかにして戦う事になるのか?ヒーローとヒーローが戦う必然性。
『BvS』に無かったもの全てがありました。

今回登場したヴィランはクロスボーンズだけでしたが、最優秀助演男優賞をあげたいくらい素晴らしかったのはヘルムート・ジモ大佐。
原作コミックでは紫のマスクを付けたヴィラン、バロン・ジモを元にしたキャラクターらしいのですが生身の人間でありながらほぼ1人でアベンジャーズ全員を敵に回し綿密な計画と恐るべき策略でアベンジャーズ崩壊を画策した、ルーサーやジョーカーに匹敵する悪役だったと思います。

しかし真の敵は誰だったのか?
其れを考えた時に思ったのは 『マン・オブ・スティール』及び『BvS』では形ばかり取り上げられ、おざなりにされた存在。
「ヒーローが戦っている時、足下で虫ケラの様に死んで行く無数の名も無き人達」

ブルース・ウェインの両親の死について『BvS』では真相も何も描かれませんでしたが、本作ではトニー・スタークの両親の死の真相が描かれました。
「トニーの両親を殺したのは洗脳されたバッキー」
最近のハリウッド映画のお手軽核爆弾に比べたらクライマックスでのこのシーンが持つ破壊力はその数百倍だと思います。
そこに至る迄のキャプテン・アメリカ=ヒーロー側・正義、アイアンマン=政府側・敵と言う構図が一気に逆転してしまう。

ジモはキャプテンに「君の瞳は澄んだ青だと思っていたが本当は
くすんでいた」と言い、トニーは両親の死についてキャプテンに「知ってたのか?」と聞き、それに対するキャプテンの答えは「君の為を思って黙っていた」と言うまるで浮気がバレた時の様なそこらのつまんない大人みたいな言い訳。
キャプテン・アメリカもまた完全な正義の存在ではなかった。
親友の為なら嘘もつくし仲間(トニー)も裏切る。
この時トニーの怒りも沸点に達しこキャプテン・アメリカが「主人公・ヒーロー」から「殴ってもいい奴」に転化した瞬間、観客全員からキャプテン・アメリカをボコボコにしてもいいと言う「許可」がアイアンマンに出た瞬間でした。

これら全てを仕組んだジモにもまた納得出来るだけの理由があり、アベンジャーズの戦いで犠牲になった家族の復讐と今迄の戦いで犠牲になった全ての人達のジモは言わば代表、「多少人は死んでもヒーローが戦わなければ世界は滅びる」と言う多数の意見の前に黙るしかない犠牲者の遺族らの無念さ、それを晴らす存在だったと思うし、アイアンマンとキャプテン・アメリカの最終決戦、2人を突き動かしているのは2人(及びアベンジャーズ)の足下で死んでいった無数の人々の無念さと怨念とやり場のない怒り、それらが2人をがんじがらめに絡めとって戦うしかない袋小路に追い込んでヒーロー同士の本気の潰し合い殺し合いを遂に実現させたのだと思います。

戦いが終わりズタボロになったアイアンマンが「盾を置いていけ、それを持つ資格はお前にない」との言葉には、あの盾はトニーの父が造ったと言う事と同時に、一切の武器を使わず盾しか持たない=全てを守る為に戦ってるキャプテン・アメリカの意思と存在そのものの否定だったのだと思います。

ジョシュ・トランク監督『ファンタスティック・フォー』がダークでハードにリブートされたのはF4に登場する異次元空間ファントムゾーンがシビル・ウォーでも登場するのでその為とも思ったのですが。

映画では捕らえられたヒーローは海の中の要塞に入れられましたが原作のコミックでは政府に従わないヒーローは異次元空間“ ファントム・ゾーン”に作られた収容所に捕らえられて、スパイダーマンによる捕らえられたヒーロー達の開放や、政府の管理下に置かれるのはヒーローだけでなくヴィラン達もで、政府隷下のヴィラン・チーム(これって『スーサイド・スクアッド』と同じ設定?)「サンダーボルト」によるヒーロー狩りとそこに現れるパニッシャーによるヴィラン、政府の兵士達まとめて皆殺しにする話し、キャプテン・アメリカとパニッシャーと言う絶対に相容れない者同士の共闘等等……でもこれらを全部やったらあと2時間以上は必要ですが。

それと毎度ウンザリ辟易させられる「タレント吹き替え問題」と「EXILE問題」ですが、今回4DXの鑑賞で吹き替えしか無かったので初めて本シリーズを吹き替えで見たのですが、ホークアイの宮迫博之氏に関しては最後のスタッフ表示を見るまで気付かなかった位違和感無かったのですが、問題はブラック・ウィドウの米倉涼子、何ですかありゃ?!Σ(゚ロ゚;)周りは全員プロの役者なのに1人だけ素人が混じってると素人でも分かるレベル。
スカーレット・ヨハンソンの芝居自体がもうダイコンに見えて来るしブラック・ウィドウが喋る度にもう喋るな引っ込めいっそ誰かこの女〇してくれ!と心の中で祈るレベル。
これでエンディングでEXILEのウンコみたいな歌が流れた日には目も当てられませんでした。

バッキーが囚われ洗脳されたヒドラの基地で作り上げられた「5人のウィンターソルジャー」ですが、本当に既に死んでてアレで出番は終わり何でしょうか?
ジモはまだ終わりじゃない的な事を言ってたので。

エンドロール後のオマケであの5人が登場するとか、例えばアベンジャーズは事実上瓦解したので、それに代わる物として国連(当然ヒドラに乗っ取られている)
主導により結成された超人部隊が世界に向けて披露される、5人のウィンターソルジャーがそれぞれヒーロー(ヴィラン)
コスチュームで現れてそれが「サンダーボルト」とかだったりしたら嬉しかったのですが。
ブタブタ

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