コミヤ

ブラックパンサーのコミヤのネタバレレビュー・内容・結末

ブラックパンサー(2018年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

ラストの陛下から世界に向けたスピーチが本作のテーマを集約しているように感じた。

何日か前に新聞で見て知っていたのだけど「危機に瀕した時、賢者は橋を架け、愚者は壁を作る」という発言がある。壁と言った瞬間CIA職員のマーティン・フリーマンを映してたくらいだし明らかにトランプを皮肉った発言だけど、この言葉は益々内向きになりつつある世界各国へ向けられたものの様にも感じられる。日本も例外では無い。ワカンダでさえ今までは自国の事のみを優先し結果としてキルモンガーという怪物を産み出してしまった。たとえ国が違えど陛下の発言の中にもある「一つの民族として助け合う」という事が今後の世界の課題でありより良い未来への一つの指針なのだと思う。

この様な分かりやすく且つ真っ当なメッセージを持った作品がアメリカで初週興行成績歴代5位の大ヒットを記録したというのは本作が提示する世界のあり方というのを国民が望んでいるということにほかならないのではないでしょうか。
映画というのはフィクションだけどそれを通して世界に正しい共通認識をもたらす事もできる素晴らしいものだと改めて思った。

肝心の本編についてだけど言いたい事がないわけではない…キルモンガーはMCU史上最高のヴィランなんて言われてるけど自分にはそこまで魅力的に思えなかった。彼がワカンダを恨む理由は痛いほど分かるけど彼なりの正義をもって行動してるのかと思ったら結局只の悪人で終わってしまったという印象。なんならアンディー・サーキスの方がインパクト大。彼の「葬式かよ音楽は?」の言葉で始まるカーチェイスは本作でも屈指のベストシーン。
ラストのまとめ方はなんか投げやりな感じさえする。キルモンガーと境界を守る部族の心変わりはあまりにもあっさりし過ぎ。

でもアフリカの民俗文化と最先端技術を掛け合わせてできた超文明国家ワカンダの世界観や独特な秘密兵器は魅力満載。後の展開に活かすような小道具の使い方も巧い。監督前作クリードで印象的だった中盤の長回しのアクションシーンは素晴らしかったけど後半にも見たかった。

にしてもナキアとシュリは可愛かったなー
コミヤ

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