社会のダストダス

アベンジャーズ/エンドゲームの社会のダストダスのレビュー・感想・評価

4.6
MCUマラソン22作目。「アイアンマン」から続いたシリーズ10年の一応の総決算。
宇宙の生命を半分消し去った紫ハゲゴリラ・サノスとの戦いから数週間。

絶縁状態だったトニーとキャップの再会、インフィニティ・ウォーでは合流することのなかった二人がシビル・ウォー以来の再会。あと一歩で仇敵を討ち漏らしたソー。フューリーの遺したポケベルに呼ばれたキャプテン・マーベル
アベンジャーズは残った戦力を結集し、インフィニティ・ストーンを奪還すべく再戦を挑む

「アベンジャーズはアベンジ(逆襲)しかできない」
上映時間3時間かけて“あの”サノスにリベンジを果たすのかと思いきや冒頭から急展開。
ある意味で決着してしまう。
そして、5年後… 世界は割と平和になりました。めでたし、めでたし。
えっ、こっから残り2時間半くらい全部エピローグか!?
タイトルの「エンドゲーム」は冒頭で回収されてしまうことに意表を突かれる。

推しキャラのソーの5年後の姿に驚愕。アベンジャーズ最強(自称)の男は今作屈指のネタ枠に。インフィニティ・ウォーでサノスを追い詰めた男の面影はなくなってしまう。
まるでグレてラリった天才子役のその後みたいな姿みたいになり、天使と海賊の子と称された彫刻の体は、溶けたアイスクリームのように弛んでいる。九つの世界に轟いた雷神の異名は今はフォートナイトのユーザーネームに。

ナターシャとクイントの友情。クイントが東京の街でヤクザを相手に戦うシーン。ソーやハルクの衝撃のその後を見ただけに、てっきりこの人もスタントマンにでもなったのかと思ったら、真面目な決闘のシーンだったのでひっくり返りそうになってしまった。真田さんがオーバーな台詞回しだし、クイントが何語喋ってるのか全く分からなかったので、最初はシリアスなシーンだとは思わず。その後のナターシャとの会話から、彼だけは孤独に5年間耐えてきたんだと思うとなぜか申し訳ない気持ちに。

最初から最後までクライマックスのアクションシーンのシャブ漬けのようだった前作「インフィニティ・ウォー」と比較すると全体的に重い雰囲気になったものの、画面に映るだけで面白くなってしまったソーやハルク、意外なほどに重要なファクターとなったアントマンが気分をアッパー調整してくれる。

不可能に思える突飛な作戦を大真面目に準備するこのアルマゲドン的なワクワク感、タイムスリップだなんて隕石に着陸して掘削ドリルを使うよりも馬鹿げた話に聞こえる。でもそれを可能にしそうな天才たちがいる。

これまで鑑賞してきた中でも特に気に入っている「アベンジャーズ」1作目と「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」そして、あまり印象に残っていない「マイティー・ソー/ダークワールド」の出来事がインフィニティ・ストーンを集めるカギとなる。
おお!我らが唯一神ロキ様もご健在ではないか!テッセラクトをもってどっか行っちゃったけど、あれは後々問題にならないのかな…

何といっても、最後の1時間が圧巻の展開。キャップの「アッセンブル」の掛け声から始まるファイナルラウンドは鳥肌もの。サノスに負けたまま仮初の平和を享受した5年間を取り戻す戦い。

ムニョムニョを持ち上げたキャップ、無数のワームホールで仲間を呼び寄せるドクター・ストレンジ、人間弾頭で戦局をひっくり返すキャプテン・マーベル、そして、ムニョムニョとストームブレイカーの二刀流で戦いながらも、太っているからやっぱり動きがもっさりしているソー!なぜこの描写だけリアルなんだ、そこは神様だから覚醒してムキムキに戻ったりしないのか!しかし、サノスの喉元に迫った際の気迫はかつての雷神そのもの。
全員分書くときりがないくらいのオールスター大感謝祭のラストバトルは凄まじい。

去年の緊急事態宣言後にちまちま見始めたMCU作品、10年分を半年くらいで観たけど「アイアンマン」の事を考えると、本当に10年前に観たんじゃないかってくらいに昔のことに思えて懐かしくなる。
「アベンジャーズ」1作目を6月のリバイバル上映で初鑑賞したので、「エンドゲーム」も劇場で観るチャンスがあるんじゃないかとチラチラ気にしながら待ってたけど、「インフィニティ・ウォー」のラストを観たら待ちきれなくなってしまった。
マーベル作品の劇場新作デビューは「ブラック・ウィドウ」になるけど、今度こそ延期がなければいいな。