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アベンジャーズ/エンドゲームのBGのレビュー・感想・評価

3.7
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「てか、アライグマって呼ぶと怒るらしーよぉ?」
「いいじゃぁん、アライグマでぇww」
「ウフフwww」

はい?良かねーよっ!!全然、良かねえよ!クソが。1ナノメートルだって良かないね。
てめーらにロケットの哀しみの何がわかんだよ?全身を改造され、心許せる家族を失い、その小さな身体でそれでも気丈に立ち上がる男を、どの口で笑えんだよ?

とは言うものの、致し方ないとも言える。俺もMCU全部観てないしね。
マーベルシネマッティクユニバースは、ご新規さんも常に取り込み続けてきた。何がすげーって、これが一番凄い。映画というコンテンツに新しいビシネススキームを植え付け、アメコミの映画化において新しいビジネスモデルを構築しつつ、しかも、既存ユーザーにも充分な満足感を与えてきたのだ。そりゃ、全くもってすげえわ。

本作だけで言うと、正直、序盤から中盤にかけてはストーリーを進めるので手一杯で、ドラマが遅々として進んでいない。これはキャラ映画であり、それ以上でも以下でもない。もちろん、前作までの積み重ねがあるから成立はするんだけど、面白いかと聞かれると…。
それでも終盤のお祭り感は楽しいし、これだけのオールキャストで、これ以上を望むのは酷だよねってなる。だから、集大成という意味では圧倒的に正しい。

てなわけで本作で一段落であり、1つの結末を迎えた。エンドゲーム。だが、終わりとは始まりであり、今、この瞬間からが過去であり、未来だ。人は厳密には今を認識できず、過ぎ去った過去を知覚するだけだ。
名だたるヒーロー達は、信じた正義を守り、彼等の今は過ぎ去った。彼等の正義は今の正義であり、本当に正しいのかなんて分かったもんじゃない。もしかしたら、サノスが正しいかも知れないよ?

それでも、人は自分の知覚の中でしか正義を判断できない。俺にとっては、ロケットをアライグマで良いと笑いながら言うやつは明確に邪悪であり、指を鳴らして消し去りたい害悪だ。一方で、彼女達にとっては、俺こそが排他的に自分の正義や価値観を押し付けるサノスなのかも知れないよね。

だから正義とは、今この瞬間に判断できるものでしかなく、それでも為すべきと信じた結果でしかない。そして、その延長線上にある未来では、また新たな悪と呼ぶ葛藤が渦巻くのだろう。だからこそ、アベンジャーズの安息の日々は、決して未来には訪れない。


平成が終わり、新たに令和が始まった。思うに、平成最後とか令和最初とかに意味なんかクソほどもない。未来は過去の積み重ねであり、時は連続し、この世界には、インフィニティストーンもなければ、アイアンマンもキャプテンアメリカもいない。

だからってさ。ヒーローが存在しない訳じゃないんだぜ。

過去に学び、また新たな一歩を踏み出すことは、意味のあることだと思うんだ。アベンジャーズの中で描かれた、未来へと託されていく意志は、無意味なんかでは決してない。
今を必死で生きることは、過ちを犯すこともあるかも知れないけど、きっと未来を守ることなんだから。そう思わない?
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