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アベンジャーズ/エンドゲームのpikaのレビュー・感想・評価

4.0
4/30のレイトショーで見たので平成に見始め終わったら令和という時代の境い目に鑑賞してきた笑
公開前から賑わっていたお祭り騒ぎを加速させんばかりの高評価、満点だらけのTLに驚いた。それ以上に見てない側よりも見た側がネタバレに対して慎重に配慮している姿勢に熱を感じた。体感した人たちがまだ見てない人たちに対して「無の状態で楽しんで欲しい」という思いやりの伝染がこの空前絶後の大ヒットと高評価を生んでいるとでも言いたくなるファンたちの輪が微笑ましい。映画史に於いての重要な瞬間を体感しているという興奮が起こる。

そんな熱気むんむんなお祭り騒ぎにワクワクして臨んだ劇場鑑賞だったが拍子抜けするくらい乗れなかった。批判的な目で見たわけでもないし、「アイアンマン」から11年順を追って見てきた程度には好きなシリーズだったし、その集大成として全く不満もなく、完璧な完成度であったのに感情が動かなかった。自分で自分に驚いて見終わったあと悶々と考え込んだ。なんでだよと。全ての人にハマる映画なんてものは存在しないのもわかってるけどまさか自分が思ったよりもハマれなかった側になるとは思わなかった。

シリーズを追って見てきたファンたちに向けた目配せどころかご褒美と評されるレベルのネタや、MCUのお家芸的なコミカルなギャグなど観客の感情誘導を完璧に計算し尽くした配置が絶妙。好きであればあるほど語りたくなるオタクやマニアのツボを完璧についた演出がニクイ。待ちに待った分だけカタルシスの得られる22作品の総決算としてのドラマ展開もアッパレ。ここまで積み上げられ期待されたものとして批判の仕様がないほど鮮やかにまとめあげてしまった脚本の完成度は圧巻。

全部見た場合と見てない作品もある場合とじゃ楽しめ方は変わるってのはシリーズものの宿命だし、自分から参加していかねばならぬ作品でもありそういう意味で見る側の姿勢によって評価が左右される映画でもある。
そういう面でMCUの集大成という存在だけでなくシリーズものが乱立している現代を象徴している側面もあり、現代の映画産業を代表する作品でもある。おそらくは世界興行収入も乗り越えるであろう人気と勢いもその一端を担っているように感じる。

ここまでのボリュームを綺麗にまとめあげ、ドラマとしてもキャラの顛末としても見事に収束したということは、欲しいものを十二分に与え、完璧に満たしたということになる。求めているものを多くの人が納得できる形で提供すると言うのは実験的な新しいものはできないということで、話の展開は別としてある意味で想像外のことは起きない。
ビッグバジェット大ヒット作品を連発し11年かけて引っ張ってきた集大成作品であり、歴史的規模のスターが競演しているお金のかけ方を見ても絶対楽しませるぞ!という作り手の気概を感じる。
MCUは常に挑戦し続けていて、だからこそ誰にも成し得なかった規模のシリーズを生み出せたんだけど、想定外の挑戦を集大成でやるわけにはいかない、そういう葛藤を驚愕レベルのバランスで見事に統制した監督の手腕に脱帽。作り手の作家性を反映させる芸術性と観客の見たいツボをくすぐる娯楽性は共存しにくいというのに凄い。
そういった意味で高評価大ヒット納得の完成度であった。が、予想外の衝撃がないということに対して思った以上に物足りなさが否めず、「いやいやそこは普通にまとめておけよ」というところでも明後日な方向へと観客を裏切り続けるザック・スナイダーやブライアン・シンガー、M・ナイト・シャマラン達を愛おしく想ってしまった。

2019.9.13【2回目】Blu-ray
2021.7.13【3回目】WOWOW
2022.5.13【4回目】WOWOW
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