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ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密のmiumiuのレビュー・感想・評価

5.0
ファンタスティック・ビーストシリーズ第3弾。
ジョニー・デップの降板には驚いたけれど、マッツ・ミケルセンのファンだから公開を楽しみにしていた。(ジョニデファンの方ごめんなさい。)
結果、ビジュアルのカリスマ性に頼らない、そのままで恐ろしいグリンデルバルドに仕上がっていてとっても満足! だった。
マッツの格好良さやエレガントさだけでなく演技力も大画面で堪能できて最高。
恐ろしく凶悪なのに外面は人を惹きつける指導者…… ファシズムにも繋がる悪役をちょっとした表情の演技で体現できていて素晴らしい。
分断を煽る指導者、という人物造形は現代にも繋がる。

ダンブルドアの秘密とグリンデルバルドの企みが明らかになる直接対決編。
原点に帰って魔法動物盛りだくさん! という感じで、とっても見やすく可愛らしくワクワクしながらの、あっという間の約150分だった。
第2作の展開を受けてもっと血みどろの争いになるのかと思いきや、良い意味で軽快。


ダンブルドアの秘密はグリンデルバルド絡みというよりクリーデンス関連だったのかな? あとは、他の人には打ち明けてこなかった過去の出来事に纏わる罪悪感と。…と、鑑賞した今は思う。
2作目がエモーショナルで怖さもあったのに比べると、グリンデルバルドの企みって結局その程度? と思う部分も多かったな……。
(ハリポタや魔法ワールドの歴史に詳しいと、「あの事件の実写化!」とピンとくるんだろうけれど、そこまで詳しくないので)
シリーズ的に全年齢向けに作らないといけない、ホラー性が強すぎても困る、恋愛描写が濃すぎてもダメ、とかあるんだろうけれど。
ダンブルドアとグリンデルバルド、そしてジェイコブとクイニーのカップルはもっと踏み込んで描いたのを観たかったな! というのが本音。でもそれだと尺が長くなりすぎるか。
あと主な舞台がドイツやブータンということで、ホグワーツの場面が少なめなのがちょっと残念。ハリポタ風味が出るとやっぱりテンション上がるので。
とは言え、ワールドワイドな魔法世界を扱うのがファンタビの魅力でもあるのは分かる。

本筋とは関係ない感想だと、私はニュートの兄テセウスが大好きなので、テセウスお兄ちゃんの出番が増えて大満足。
兄弟描写も多くてスキャマンダー兄弟萌えだった笑 2人ともカワイイ。
ジェイコブも相変わらず可愛くて楽しくてこのシリーズの良心で良かった!


シリーズはもっとたくさん作る構想のはずだけれど、大きいところはほぼ伏線回収して第一章として決着をつけたという感じ。
(2作目からの伏線を無視した部分もあって、お世辞にも脚本が巧いとは言えないけれど)
ファンタビシリーズは好きな一方で、作者の差別発言等は許せない&方々から批判も受けていると思う……ので、場合によってはシリーズが中断してもやむを得ないのかなあと思ったり。
ニュートとティナの関係の続きを観たいし、ジュード・ロウのダンブルドアとマッツのグリンデルバルドももっと観たいけど!
エズラ・ミラーどうするんだ問題もあるし、この辺りは続報を待つしかないんだろうな。
そういう意味では、気になる部分に決着をつけてうまくまとめた3作目だったと思う。


(追記)
何度かリピート鑑賞したので追記。
初見ではストーリー展開を追うのに夢中で気づかなかっただけで、思っていた以上に「愛」の物語だった。
選ぶ道が分かれてもまっすぐにクイニーを愛するジェイコブに涙……
そしてお互いにきっと愛はあるのに決して同じ道は歩けないアルバス・ダンブルドアとゲラート・グリンデルバルド……
そんなの泣いてしまうよ……

タイトルに「ダンブルドア」を冠しているだけあり、アルバス・ダンブルドアの愛や生き方や選択を描く物語でもあった。
ダンブルドアで始まりダンブルドアで終わる演出も象徴的。
教師らしく魔法界のエリートらしく、そして家族や仲間のために正しい道を選ぶことで、個人の愛を犠牲にするアルバスの生き方が切ないよ……
そういった過去の出来事やダンブルドア先生の普段は見せない悲しみ、胸に秘めた愛もすべて含めて「ダンブルドアの秘密」なんだろう。
そしてそんな彼を、先生としてではなくファーストネームの「アルバス」呼びしてともに戦うニュートが私は大好き。

結ばれない愛(アルバス・ダンブルドアとゲラート・グリンデルバルド)と、禁忌を乗り越えようとする愛(ジェイコブとクイニー)を描きつつ、エンタメ作品としても楽しく、名優の演技で満足度を上げてくる。
リピートするほど発見のある、素晴らしい作品だった。
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