ブタブタ

スーサイド・スクワッドのブタブタのネタバレレビュー・内容・結末

スーサイド・スクワッド(2016年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

本国では酷評との評判や、見た方のレビューでも微妙と言う感想が多いのは肯けますし映画自体の出来はけしてよくないと思います。
自分も正直ゴミ映画『ROOKIES卒業』に似てる気がしました。
ROOKIESはTVドラマは面白かったけど「不良が更生して甲子園を目指す」と言うメインのお話しは既に終わっていて劇場版は「変なコスプレ集団」が野球をしてるとしか見えなかった。
それと同じ現象がスーサイド~でも起きてる気がしました。
アメコミのヴィラン達はそれぞれにストーリーやバックボーンがあり一応時間をさいて前半に説明はありますが「こんなに悪い人ですよ~」と説明だけでストーリーではないですし。
大幅に出番がカットされたらしいジョーカーにしろ2時間ではとても収まる内容ではなくダイジェスト版みたいになってしまっていてそこは残念でした。

嘘か誠か分かりませんが、シャイア・ラブーフがインタビューで語った所によると彼はGQエドワーズ中尉の役で出演予定でフラッグ大佐役のトム・ハーディが降板した為フラッグ大佐の役割が大幅に小さくなりデッドショット役のウィル・スミスの口出しで脚本が大幅に変えられてしまったとか。

本当だとすれば何だかストーリーのチグハグ感やキャラクター間のバランスの悪さも分かります。
フラッグ大佐&GQエドワーズ中尉のコンビとデッドショット&ハーレクインの2組がそれぞれのグループで話しを進めつつ、軍人とヴィランそれぞれに役回りと見せ場を作れば大量のキャラが居ても『シビル・ウォー』に引けをとらない作品になっていたと思うのです。
トム・ハーディなら大スターさん()のウィル・スミスの横に並んで絵になると思いますが、あのフラッグ大佐では絵的に少し華がないと思いました。

ラスボスである2人以外に敵側に魅力がない。
怪物兵ばっかりワラワラ出て来て全員で倒す。
その繰り返し。
デッドショットのウィル・スミス毎度おなじみ家族愛お涙頂戴パターン。
皆さん絶賛のハーレクインですが確かにマーゴット・ロビーの芝居は凄かったし『ダークナイト』のヒース・レジャーのジョーカーがアカデミー賞取ったんですから本作のハーレクインがアカデミー賞取ったっていいくらいだと思います。
でも男次第で思考から趣味から何から何まで変わってしまう馬鹿女が心底嫌いなのでハーレクインは好きになれませんでした。

とにかく文句を言えばキリがないのですし映画としての点数は皆さん言うように低い点数しか付かないと思います。
(以上文句終わり)

が、結論から言えば楽しかったし大好きな作品になりました!
もう出来不出来に関係なく。
正確に言えばこの映画を起点に色んな想像が広がり楽しめると言いますか。

マーベルシネマティックユニバース(MCU)は正義と悪が明確に分かれている世界で(シールドとヒドラと言う正義と悪の組織がはっきりと存在してますし)DCエクステンデッドユニバース(DCEU)はもっと混沌とした正義と悪が不明瞭な世界だと思います。

スーサイドスクワッドは「悪役版アベンジャーズ」と言うよりもマーベルのTVシリーズ「エージェント・オブ・シールド」に近い話しだと思いました。

スーパーマン亡きあと世界の警察を自認する(或いは第三次大戦へ向けての)アメリカはスーパーマンに代わる抑止力としてメタヒューマンによる軍隊の創設を計画する。
その雛形とも言えるのが政府組織 A.R.G.U.S.とその配下タスクフォースXそして使い捨てのスーサイド・スクワッド(自殺部隊)

それと並行し進んでいるのがバットマン=ブルース・ウェインによる『ジャスティスリーグ』なのでしょう。

スパイダーマンの「レイヴンクラフト収容所」バットマンの「アーカム精神病棟」(ちょっと出て来ましたが)にあたる本作では超能力を持った犯罪者たち(ヴィラン)を閉じ込めておく施設として「ベル・レーヴ凶悪犯連邦刑務所」があり、
ここにバットマンやフラッシュのヴィジランテ活動によって集められたヴィラン達が収容されている。
ベン・アフレック監督主演の『バットマン』はアーカム精神病棟が舞台との噂もあり、このヴィラン達が収容された施設が登場するだけで非常に嬉しいです。

スーパーマン出現以前にも異星人の地球への到来やメタヒューマンの出現は歴史上に記録があり(多分)それでレックス・ルーサーは「悪魔は空から来る」と警告していた。
異星人やメタヒューマンは古代の人々にとっては神や悪魔又は伝説上の怪物か何かだったでしょうし、魔女エンチャントレスは正に神として崇められていた存在で古代人にとっての「スーパーマン」であった。
来たるべき「第2の、そして悪のスーパーマン」に対抗する為のお話しなのですが具体的な驚異についてはまだ描かれていません。

クライマックスはエンチャントレスが弟インキュバスと共に世界を滅ぼそうとする展開ですが、炎魔人エル・ディアブロ対インキュバスの対決によりディアブロは死亡。
デッドショットが実質主人公として裏の主人公はこのディアブロだったと思います。
炎を出すメタヒューマンであり、その強さとチート能力はスーパーマンにも匹敵すると思いますがそのチート能力ゆえ(?)今回一回きりの登場で退場となったのでしょうか。

カタナ(福原かれん)のカタコト日本語については『シン・ゴジラ』のカヨコ・アンダーソンと同じく怪獣映画等に於ける「カタコト言葉の変なインチキガイジン」枠なのだと思うのでアレでOKだと思います。

『BvS』よりもはるかに出番が少ないバットマンがクールかつかっこ良すぎでした。
設定によるとバットマンとロビンはゴッサムシティで20年に渡り活動していたとか。
ロビンのキャスティングについてマット・デイモンが法外なギャラで受けたとか噂を聞きましたが(飽く迄噂です)マット・デイモンでは年を取りすぎの意見もありますが、20年もやってたと言う事はバットマンもロビンも二人とも年を取ってますし(年齢問題はクリア)もう親友や恋人以上のかけがえの無いパートナーであり、今回ハーレクインがロビン殺害犯の1人である事が明かされましたがそのロビンを殺した相手を助けたバットマンの複雑かつやるせない気持ち。
それとは逆にデッドショットを捕まえる時は弱点である娘と一緒に居る時を敢えて狙う(恐らく)冷徹さ。

フラッシュが一瞬しか出なかったのが残念でしたがあと一人位ヒーローを(グリーンランタンやグリーンアローあたり)未発表の誰かを隠し玉的に出してもよかったのにな~と思いました。

『スーサイド・スクワッド』も『BvS』と同じくカットされたジョーカーの出番等を加えた3時間近いアルティメットエディションが恐らくは出ると思うのですが、確かキューブリック監督が「劇場公開された物がディレクターズカットであるべし」と語ってた様に毎回これでは如何なものかと思いますが。

IMAX3D字幕にて。
ブタブタ

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