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イロイロ ぬくもりの記憶のgenarowlandsのレビュー・感想・評価

イロイロ ぬくもりの記憶(2013年製作の映画)
3.9
フィリピン人メイドとシンガポール人家族の交流を描いたヒューマンドラマ。若い29歳の監督の自伝的作品ですが、甘さが一切ない。人間を裸にし、厳しさも弱さもそのままむき出しにしています。また、安易に奇跡に頼らないのもいい。それでいて希望と人の強さが伝わってきました。良作だと思います。

イロイロとはメイドの出身地の地名。

不況下で失業した父と、身重で働く母、かまってもらえない息子の苛立ち。ギスギスした家庭に、同じく苦境にあるフィリピン人がシッター兼メイドとして入ってきます。簡単に和やかな雰囲気にはなって行かない。

どこから少年がメイドに当たらなくなったのかは、あのシーンからかな。諸外国では倫理的に難しそうですが、家庭の日常を描くとはそういうもの。メイドが見た裸の家庭であり、裸の少年、家族、皆心をむき出しにし、安らぎと愛を求めていました。

フィリピン人メイドが主人公なのは香港舞台の「淪落の人」に次いで2作目。「淪落の人」は与え合う優しさと爽やかな余韻がありましたが、こちらは厳しい現実を受け入れる力強さと希望を感じました。少年の成長記、続きを観たいです。
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