2022.09.01 配信で視聴
オープニングで「あ、これは陰鬱映画かな、失敗した」と思った。
そのとおり前半はしんどかった。
辛気臭い。画面が明るく(夏空・晴れ)ても空気が暗くて重い。
主なキャラクターは姿かたちともにわかりやすい設定。
そこを類型ととるか親切ととるかで最初の評価が分かれそうだ。
私は後者だった。
物語は、病んでる少女の転落死から始まる。
謎は意図的に隠されていて、
結局、現実の誰にも少女が転落した原因は不明のままだ。
描写はすごく細やかで、要所要所の構図・色彩がきれい。
秘密の同盟、ゆらぎ、嘘、噂。
リアルはもっと胸くそ悪い展開になるはずだが、
この映画は優しく、
あの時期特有の危うさを密やかに描いている。
途中、Too much painって言葉が浮かんだ。
この映画に登場する高校生たちに半グレやヤンキーはいない。
中心になる3人の少年たちも
幼少期に家できちんとしつけられた、元は素直な子どもたちだろう。
そんな彼らに重すぎる痛み。
鑑賞後、You Tubeで『チェインギャング』を聴いた。
彼女も彼も、
あの歌のように<スタイリッシュじゃない泥臭い歌>に触れてたら、
もう少し違う“過ぎ越しかた”を選べたんじゃないかと思った。