素晴らしい作品だ。
樹木希林しかこの役は出来ないだろう。
ハンセン病にかかった老婆、徳江役なのだが、木漏れ日の中で空を見上げた時の姿が、何て綺麗で美しい人なんだろうと
思った。
若い中学生の女の子達も出てくるが、若さだけの美しさより苦難に満ちた人生を乗り越えた人にこその美しさがそこにある。
満開の桜、緑の木々、風の音。美しい風景一つ一つの映像が、徳江の心なのだ。
ハンセン病患者への差別と受難を訴えた映画ながら、徳江によって人生をやり直して行く店長役の永瀬君も素晴らしい。
樹木希林の孫で、初演技の伽羅さんも
初々しく、素朴で好感がもてた。
最後、「どら焼、いかがですか?」
と花見客に向かってのセリフがあるが、
これは花見客に言っているのではない。
人は苦しみを越えてこそ人になるのだ。