へちょりーの

怒りのへちょりーののレビュー・感想・評価

怒り(2016年製作の映画)
4.5
見終わった瞬間なんとも言えない感覚に陥った。
人を「信じること」って一体どういうことなのか。
人を「裏切ってしまう」ってことはどういう時に起きてしまうのか。
良い悪いのものさしでは計れない、人間の深みを考えさせられる作品。
吉田修一原作×李相日監督のタッグだからこそ「悪人」を見終わった時と同様の感覚に見舞われた。

3人の奇妙な男性と彼らを取り巻く周囲の人々の日常が、別々の土地、別々の環境でありながらも、同様のペースで少しずつ好転していこうとする。
その中で警察のTV公開捜査をきっかけに、それら3つの日常が変わっていく。

犯人が3人の奇妙な男性にうちの誰か、ということが大事ではなかったことにも。
本当に大切なものが一体なんだったのかということも。
人はこんなにも簡単に人を疑い裏切ってしまえる生き物だということにも。
これらに気付き深く考えさせられる作品だった。

そして坂本龍一の音楽がストーリーを邪魔することなく、作品を引き立てる効果を大きくさせていることにも脱帽させられた。