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怒りのtoshiのレビュー・感想・評価

怒り(2016年製作の映画)
4.9
予告から私が苦手な重~い感じの映画と勝手な先入観で本日まで鑑賞を避けておりました本作です。でもずっと皆様の数々のレビューを拝見し気になっていた作品でもありました。そして意を決し本日鑑賞してまいりました。

非常に素晴らしい作品でした。確かにズシンと感じるものはありましたが、私が苦手な重さとは何かが違います。終始それぞれの愛情やその表現に魅せられ、そしてそれぞれの人間模様に切なさを感じずにはいられない作品でした。

ある残虐な殺人事件の犯人を追って、3つの都県でそれぞれの出逢いから始まる本作。私は殺人事件の犯人が誰なのかよりも、出逢いから始まる人への愛や思い、行動がこの先どう進んでいくのだろうという事が気になりました。そして物語が進むにつれどんどんその気持ちは強くなります。もう犯人なんて誰だって構いませんw

親、子供、異性、同性・・・。それぞれに対する愛と思い。本作中盤まで繰り広げられたそれぞれの愛と思いは穏やかさすら感じます。が、中盤以降人をどう信じてよいのかといった戸惑いからくる愛と思いに切なさを感じます。そしてその戸惑いから取った己の行動への怒りに変わる終盤は、更にも増す切なさで胸を締め付けさせられる思いでした。

救われた者、救われなかった者、今はどちらとも言えない者、それぞれの結末が待っていますが、それは異なる人への愛と思いがどの様なものであるかで決まるのだと思いました。

キャストの方達の演技が絶賛されておりますが、個人的には綾野剛さんが素晴らしいと思いました。日本で一番悪い奴らから一遍し、終始物静かな演技が兎に角優しかったです。

今年の邦画は素晴らしい作品が沢山あると感じております。本作もその1本と言っても過言ではございません。

ちょっと緊張して席につきましたが、紙兎ロペのアキラ先輩が歌うポップコーンの歌が可愛くて、一気に緊張がほぐれましたw アキラ先輩、ありがとう。
そして本作を勧めてくれて背中を押してくれたmeg様、ありがとうございました。
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