なお

トランスフォーマー/最後の騎士王のなおのレビュー・感想・評価

3.2
「トランスフォーマー」シリーズ第5作。

前作から数年の時が流れるも、人類とトランスフォーマーたちの戦いは激化の一途を辿っていた。

そんな最中宇宙から迫りくる、人類最大の危機。
バンブルビーを新たなリーダーに据えたオートボット・チームと、前作でも世界を滅亡の危機から守った肉体派エンジニア・ケイドの活躍を描くストーリー。

✏️引き延ばし感
シリーズ最大級、と言っていいくらい、個人的には「退屈な」作品。
途中どうしても睡魔に耐えきれず30分程度の休憩を入れてしまったほどだ。

当然本作もマイケル・ベイ監督らしい大破壊と、重低音鳴り響くトランスフォーマーたちの大活躍が拝めることは間違いはない。
だがしかしそのいずれも「過去作以上のもの」にはなり得ておらず、「これもう見たなぁ…」という既視感、とまでは言わないが、目新しさゼロのアクションシーンがほとんどを占めてしまっているのはイタい。

シリーズ初(?)となる「ダブルヒロイン制」も個人的には微妙。
「シカゴの戦い」にて両親を失ったイザベラと、物語のカギを握るヴィヴィアンといった「ダブルヒロイン」の存在をうまく扱えていない感。

イザベラは序盤に出てきてその後後半まで目立った活躍はほとんどなし。
ヴィヴィアンは「トランスフォーマーは1,600年前から人類とコンタクトしており───」という完全後付け、シリーズを引き延ばすため無理やり作られたようにも見えるこの設定を活かすためだけに用意されたインスタント・ヒロインであり、両者に魅力はほとんど感じなかった。
そんなヒロイン(=ヴィヴィアン)とケイドが最終的にイイ感じになっているのもちょっと安易すぎる。

だがしかし、シリーズを鑑賞する上で本作を飛ばしてもいいのか…?と聞かれれば、それは「NO」だと思う。

先に書いた「後付け」ともとれる件の設定だが、この実写版「トランスフォーマー」のシリーズを語る上でかなり重要(そう)な設定である。
劇中で何度も登場した「犠牲なくして勝利なし」「Witwicky」というセリフや人物名、過去作をキチンと見てきた方ならピンと来ているはず。

また、現在公開中『ビースト覚醒』の予告編でオプティマスが「ユニクロォン… イズ カミング…」と言っているが、その件の「ユニクロン」という名称が本作にてようやく言及される。
実際、劇中やポスト・クレジットにて「ユニクロンとは何たるや」を示す演出や人物が登場するため、本作を回避して最新作を見てしまうのは少々もったいない気がする。

アクションやストーリーは「中の下」であるが、その肝心のストーリーは今後の「トランスフォーマー」シリーズにおいて欠かせない内容となっている…というのは実にタチが悪い。

あと30分でいいから上映時間をキュッとまとめてくれればなぁ。
やっぱりこれだけシリーズ作品を見てきても、「2時間半」って字面で見ただけで「なげぇな」って思ってしまう。

☑️まとめ
目新しさのないアクションシーン、重要さを秘めてはいるが今一つのめり込めないストーリー、存在意義の薄いヒロインたち…

大作アクション映画における「重要なピース」がいずれも不在であり、頭カラッポで楽しむ娯楽映画としての椅子にも座ることは難しい不憫な作品。

本作の興行的失敗を受け「トランスフォーマー」正史のシリーズ作品は無期限延期の措置を受けていたが、周知の通り約6年の時を経て『ビースト覚醒』が公開。

物語が正史に戻るまでの”つなぎ”は、スピンオフ作品『バンブルビー』が担うことになる。

<作品スコア>
😂笑 い:★★★★☆
😲驚 き:★★★★☆
🥲感 動:★★★☆☆
📖物 語:★★★☆☆
🏃‍♂️テンポ:★★☆☆☆

🎬2023年鑑賞数:82(38)
※カッコ内は劇場鑑賞数
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