教授

恋人たちの教授のレビュー・感想・評価

恋人たち(2015年製作の映画)
-
橋口亮輔監督というのは本当に才能豊かな監督だと思う。

群像劇としての本作は、様々な登場人物の日常らしき出来事が、まるで「ドキュメント」のように描かれる。

しかし、これらは「日常らしき」世界であり「ドキュメント」のようであるが、フィクションであり、物語であり、何より映画なのである。

物語空間の出来事として主人公たちの「日常」はリアルなようでいて、非常に不自然なまでに作劇的な空間になっている。

ドキュメントっぼい演技、演劇的に見える演技、そして映画でしか描けないような沈黙やじっと俳優たちが佇むだけの印象的なシーン。そして、あの変な水とか、皇族とか、覚醒剤とか。
よりによって繋がる映画的小道具と人間関係。関係性や、出来事によって多面的に見える人物の感情と豊かな表現が畳み掛けてくる。
東京という街、日本という国の中で痛みをこんなにも炙り出した作品はあまりない。
そして、それらが交わって映画でしか表現できない時間として画面に現れていて。
本当に素晴らしい映画。
教授

教授