いずみたつや

はじまりへの旅のいずみたつやのレビュー・感想・評価

はじまりへの旅(2016年製作の映画)
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父・ベンの個人の裁量で教育することが、子どもたちに体力面や知識面で大きな貢献をしている一方で、結果的にベン自身が"自由"を奪う"独裁者"となってしまっているのが恐ろしい皮肉です。

ベンが言うように、世の中は間違いだらけかもしれません。
しかし、大人になるには"悪いもの"や"危険なもの"に触れることも必要で、教育に求められるのは、それらから隔離して守ることではないんだなと思いました。

また、教育という観点から少し離れてみると、"自分が正しい"という思い込みの危うさについての話でもありました。
ベン自身、その壁を乗り越えて成長していくわけですが、ここが感動的でもあり、切なくもあります。自らを否定することは、想像を絶する痛みが伴うはずです。

ラストに流れるボブ・ディランの名曲"I Shall Be Released"の歌詞が沁みます。間違えながら、やり直しながら、人生は続きます。答えはなかなか見つからないし、一生分からないことかもしれませんが、いつかきっと解放される日がくると信じて1歩ずつ進むしかないのです。