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はじまりへの旅のnodriguezのレビュー・感想・評価

はじまりへの旅(2016年製作の映画)
4.2
ベン・キャッシュは現代社会から隔離された森深くで、頭脳明晰で並外れた身体能力を持つ6人の子供たちと一緒に暮らしていました。森の中で特殊な訓練をして過ごしていましたが、その風変わりな日常が、母親の死によって一変してしまいます。母親の葬儀に出るため、そして、母親の最後の願いを叶えるため、一家はニューメキシコを目指してバスで現代社会へと飛び込むのでした。
ヴィゴ・モーテンセン主演の映画で、子育てや家族の在り方、そして、自分の人生を見つめ直すきっかけを与えられる作品です。
自然と共生するという、子育てに対する父親の気持ちも分かるような気もしますが、一方で、子供は学校へ行き社会性を備えるべきだという、現代の常識が自分の中に染み付いているため、父親の教育方針を批判する祖父の気持ちも分かるような気がします。森での生活を離れ、いわゆる社会の「普通」を目の当たりにした子供たちの、戸惑い、父親に心の内をぶつける姿も非常に悩ましいです。誰が正しい、誰が間違っているとは言えないからこそ、観ている側も登場人物と共にこれまでの人生や将来、他者との価値観の違いに葛藤することができます。
そして、全てを見終わった後で、邦題の良さがじわじわと感じられます。確かに、この旅は風変わりな家族の新たな始まりの旅だったと思います。
「家族」「バス」で言えば、リトル・ミス・サンシャインっぽい構成で、劇中で○○を運ぶなど、ところどころ似通った部分もありますが、本作の方がコメディ要素は薄めで、より親と子の絆がフォーカスされているような気がします。
あとは、純粋にヴィゴのファンなので(笑)、劇中の至るシーンで彼の新しい演技を観ることができて満足です。
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