回想シーンでご飯3杯いける

クリード チャンプを継ぐ男の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

3.7
ツタヤ110円セールはまだ続く。「ロッキー」シリーズの新章として製作された本作は、Filmarlksで高スコアをキープしているのも頷ける、意欲的でパワフルな作品だった。

旧作でロッキーのライバルだったアポロ・クリードの息子アドニス・ジョンソンが、ロッキーに入門しタイトル戦に挑む物語で、主人公はあっさりとロッキーからアドニスに変更されている。そのアドニスも頭脳明瞭で、ビジネスマンとして出世コースに乗っていたものの、本当の自分に出会う為にボクサーに転進するという、いかにも現代っぽい設定。恋人が作った音楽に即興でラップを乗せる事もできる。「ロッキー」とは違う新しい作品「クリード」である事をしっかり打ち出した点が潔い。

旧シリーズの人情物語的なテイストは、シルヴェスター・スタローンを初めとする年長キャラクターが引き継ぎ、旧作とのつながりを感じさせるエピソードもいくつか散りばめられている。しかし、旧シリーズ未見の観客を置いてけぼりにしないバランスになっているのが良い。

監督は'86年生まれの若手ライアン・クーグラー。「子供の時に父親に連れられてロッキーを観に行った」と語る等、スタローンとは親子以上に歳が離れた出演者も多い。邦題のサブ・タイトル「チャンプを告ぐ男」はクリードだけではなく、本作を作った裏方、脇役全てを指す言葉なのだろう。その絆の強さが生んだ頼もしい作品だ。