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エイリアン:コヴェナントのHAYATOのレビュー・感想・評価

エイリアン:コヴェナント(2017年製作の映画)
3.6
2024年316本目
The Path To Paradise Begins In Hell.
巨匠・リドリー・スコット監督が自身の傑作『エイリアン』の前日譚を描いた『プロメテウス』の続編
人類移住計画を託された宇宙船コヴェナント号は、2000人の入植者を乗せて新たな植民地となる惑星オリガエ―6を目指していた。しかし、突如発生したトラブルにより、対処する時間もなく、貴重な多数の乗務員の命を失ってしまう。その直後、謎の信号を受信したコヴェナント号は信号の発信元の未知の惑星に降り立つが、そこには想像を絶する脅威が存在していて…。
新たな主人公となる女性・ダニエルズを、『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』で注目されたキャサリン・ウォーターストンが演じ、『プロメテウス』でアンドロイドのデヴィッド役を演じたマイケル・ファスベンダーが続投。そのほか、『ビッグ・フィッシュ』のビリー・クラダップ、『マイレージ、マイライフ』のダニー・マクブライド、『ヘイトフル・エイト』のデミアン・ビチル、『ファンタスティック・ビースト』シリーズのカルメン・イジョゴらが出演。『名探偵ポアロ』シリーズのマイケル・グリーンが脚本を担当した。
未知の惑星に降り立ちながら、基本的な検疫プロトコルを無視し、予想通り悲劇が次々と発生するという『エイリアン』シリーズの伝統芸能ともいえる展開が見られ、クルーたちの無防備さと判断ミスの連続に若干呆れながらも、そのスリルを楽しむことができる。
『エイリアン』シリーズに欠かせないのが、強烈なグロテスク描写。本作においてもその要素が強調されており、エイリアン誕生の瞬間や犠牲者たちの無残な最期が次々と映し出される。序盤からコールドスリープ状態で焼死するという衝撃的なシーンが登場し、その後も耳や鼻から侵入する未知の病原体など、生理的な嫌悪感を抱く場面が続く。また、『エイリアン』シリーズは、H・R・ギーガーの性器をモチーフにしたエイリアンデザインに象徴されるように、「性」を恐怖として視覚化してきたが、本作でも、カップルのクルーたちが次々と恐怖に陥れられる演出がなされている。シャワーシーンでのホラー演出は、『サイコ』などのクラシックなホラー映画のオマージュとしても機能し、リドリー・スコットが古典的な手法をあえて踏襲していることがわかる。
前作『プロメテウス』で提示された「創造主への問い」は本作でも引き続き展開されているが、さらに踏み込んで「創造されたものが自ら創造主となり得るのか?」というテーマが掘り下げられている。デヴィッドは人間の手によって創造されたアンドロイドだが、その後人類を超え、エイリアンという新たな生命を作り出す。創造された存在がその役割を超え、創造主に反逆し、自ら新しい生命を産み出すという展開は、非常に恐ろしいものだった。
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