ちろる

劇場版 ムーミン谷の彗星 パペット・アニメーションのちろるのレビュー・感想・評価

3.7
突然灰色になった世界。
よくみるとそこらじゅうに灰が被っている。
ジャコウネズミさんはもう間も無く彗星が衝突し、地球の終わりだと悲観する。
相変わらずマイペースなパパとママは、怖がるムーミンを宥めるために天文台に行くように促す。
彗星がぶつかれば世界の終わりの始まり。
ムーミンたちVS彗星の過酷な旅が始まる。

まだ、スナフキンとは初対面の回で、スニフ以外ムーミンファミリーお馴染みの愉快な仲間たちが少ない本作。
ミーとかいないのってちょっとだけ寂しい

ガーネットを手にいられなかったことを嘆くスニフに
「何かを手に入れようとするのは難しいものだよ。」9見たものは心の中に刻んで何も持たないスナフキンのミニマリストの考え方も学ぶべきことがある。

世界が滅びるかもしれないその状況を前にしてこの小さいトロールたちに一体何が出来る?
それでもこのトロールたちは一心不乱に彗星の動きを追い求める。
洞窟に閉じ込められたり、流されたり、いつもは牧歌的な雰囲気が売りのムーミン谷の物語と違った彼らのこの命懸けの旅を見ていると何か気付かされるものがある気がする。
いまウクライナの戦争で、変わりゆく世界情勢を憂いても何もしないでニュースを見るだけの自分。
ムーミンたちのように、少しでも何か自分ができることがあるのではないかと行動することができる人でありたいとまさかこのムーミンのパペットアニメで思わされるとは思わなかった。
そう考えるなかなか深い作品である。
実際、この作品については46年の発表から22年を経て68年に最終版が完成していて、原作者ヤンソンにとって、この作品に思い入れが強かったのかもしれない。
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