映画観るマシーン

ボーダーラインの映画観るマシーンのレビュー・感想・評価

ボーダーライン(2015年製作の映画)
4.2
また観ちゃった、何度でも観たくなる
この乾ききった血の匂いしかしない、どこにも救いの無い殺伐とした世界。
正義感と狂気、合法と違法、アメリカとメキシコの国境。様々な「ボーダーライン」で主人公は苦しみ悩むも、その答えを出す時間すら無いほど苛烈に襲ってくる麻薬戦争最前線の重い現実。主人公の信念や苦悩で何かを変えられるような次元はとうに過ぎ去り、とても冷たい無機質な"現実的手段"を採らなければ何も変わらない現実。
描写される複雑で異様な世界観と没入感に観ている我々も現実と虚構のボーダーラインを見失ってしまう。
でも当たらずも遠からずの現実があるんだろうな。ちょっと検索かければ麻薬戦争の犠牲者たちのグロテスクな写真が大量に出てくる。『ボーダーライン』と同じような世界が現実にあると思うと本当に怖い。
警察も検察も買収され、逆らうと殺されるような法の機能しない世界では非公式非公認の超法規的手段で臨むしかない。極悪には悪をぶつけるしかないのか。

あと最後にひとつ言わせてくれ
ベニチオ・デル・トロかっこよすぎるわ