Donatello

ディバイナー 戦禍に光を求めてのDonatelloのレビュー・感想・評価

3.7
ラッセル"マキシマス"クロウさんの満を持しての初監督作品な訳ですよ。
しかも撮影監督アンドリュー・レスニーさんの遺作。
多分これは皆さん興味あるコンビネーションかと思います。
…無いとは言わせない。

もうね凄い惜しいの。惜しいなぁ。

脚本書いたのがアンドリュー・ナイトさん。正直あなたは誰ですかと思ったら『ジャック・アイリッシュ』の人でございます。

3人の息子を戦場に送り出したが全員行方不明となり、奥さんは自殺、という悲惨を映像化したような主人公コナー。

皆を連れて帰ると亡き妻に誓い、息子達が向かった戦場トルコへと旅立ちます。

導入部分とかの雰囲気はもう巨匠テレンス・マリックかという、初監督作とは思えない見事な構成・映像。
まぁレスニーさんに依るところ大きかったとは思いますが、ラッセルさんの並々ならぬオーストラリア愛を感じます。

そうかと思えば、幼少の頃の子供達との回想で、狩りの帰りに砂嵐に襲われた息子たちを探しに馬で荒野を駆け抜けるシーンは、もうリドリー・スコット監督を彷彿とさせるダイナミックな出来。
さすがリドリー監督作の常連。ここまで見事なカンニングなら天晴れです。

これは名作の予感。

…と思っていた時間帯もあったんですがね。

何故かオリガ・キュレンコちゃんが出てくるんですけど、ラッセルさんと凄くいい雰囲気になります。

いや待て待て。奥さんを亡くし、息子達を探しに出た男とは思えないロマンスの予感。ロマンスは余分。

これさえ無かったら…。

おいアンドリューふざけるなと脚本に文句を言いたいところですが、総べているのはラッセルさんな訳で、一言言えば済むのに、そうしなかった辺りに不安を感じます。
『プルーフ・オブ・ライフ』でメグ・ライアンさんを寝盗り、デニス・クエイドさんに「アイツは人間としてクズ」と言われた、よからぬ癖を思い出さざるを得ませんでした。
まさかのオリガちゃん狙いかと。

とは言え戦場における息子達の様子を想像するシーンや、回想シーンは、ブラット・ピットさん主演の『レジェンド・オブ・フォール』の戦場のシーンと同じく、兄弟を持つ身にはなんとも堪らないシーンだったりして、見所も少なく無いので機会があればご覧頂きたいと思います。

個人的にも、ゴッホより普通に好きなラッセルさんなので、是非とも女優を狙わない前提での次監督作に期待したいところ。
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