Marie

グレイテスト・ショーマンのMarieのレビュー・感想・評価

グレイテスト・ショーマン(2017年製作の映画)
4.5
デリケートな問題を扱っているこの映画を、どんな気持ちで観ていいか分からなかった。映画が始まっても、いつもより心が開けない。チャーミングでスタイリッシュで魅惑的なバーナム氏とこの映画に騙されてはいけないと思っていた。
でも「This is me」を聞いた瞬間、そんな気持ちは弾け飛んだ。これを聴いただけでも、この映画を観た価値はあるとさえ思えた。(実は他の曲も、全て素晴らしいと思っていたけれども)
この映画が偽善的だとか、薄っぺらいとか、ご都合主義だとか、そう思われる要素を孕んでいることは否めない。私自身もそう思っていた。でもこの曲を聞いた瞬間、生きることにこんなにも真摯に立ち向かうこの曲を信じようと思った。この映画を信じてみようと思えた。

そう思って観ると、この映画の各パートはかなり考えられて作り込まれたものではないかと思えてくる。何しろ7年もかけて作られている映画なのだ。

この映画は、素晴らしい役者と素晴らしい音楽によって、多くの人の心を鷲掴みにする。映画館に何度も足を運んだ方も多いと思う。
もしかしたら製作者側は、きっとこんな風に、何回も繰り返し観ることを想定しているのではないだろうか?そして、批判を受けることさえも、きっと想定しているだろう。まるで劇中のバーナム氏のように。
繰り返し観ることで、考える機会は増えるし、批判的な気持ちを持つことも、考える機会を与えていることになる。
なんだか宿題を与えられた気分だ。
“望みがすべて叶う”
“身も心も満たされる”
そういう世界はどんな世界なのか?
そしてその世界を夢物語にしない覚悟を、私たちは持てるだろうか?
Marie

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