Marie

プーと大人になった僕のMarieのレビュー・感想・評価

プーと大人になった僕(2018年製作の映画)
4.0
この映画は、忙しい大人にちょっと立ち止まって、童心の心を思い出させてくれる優しい映画なんだろうけど、私にとっては別の意味がある映画になった。

ここ最近、私はまるで霧深い100エーカーの森の中を彷徨う迷子状態にいるようだ。自分の周りと自分だけが進んでない。止まってしまった世界。「いや、私だけじゃない。こんなご時世だから、きっとみんなも前に進めず苦しんでいるはずだ」
でも、ふと遠くを見てみると、私の予想に反してどんどん進む世界に驚く。進んでいく人が眩しくて、進んでいないうえに何もしない自分は、さらに濃い霧の中に迷い込んでいく。そしてそんな自分に腹を立てるけれど、何も出来ないのだ。ただただ思考の森で足跡をたどり、私は何もしないを繰り返している。

そんな深い霧を払ってくれるのが、繰り返されるプーさんの言葉だ。
「“何もしない”をすることがいい時もあるよ」
「“何もしない”は最高の何かにつながるよ」
元々はクリストファー・ロビンが言っていたこと。
初めはこの言葉の意味が分からず混乱した。“何もしない”はゼロってことじゃないの?それどころかマイナスじゃないの?
でも、わからないままプーさんが繰り返し言うこの言葉を聞いていると、“何もしない”は決して悪いことではない気がしてくるから不思議だ。悪いのは“何もしない”を楽しまないことだ。
進めない自分を優しく肯定してもらえた気がして、穏やかな気分になった。
Marie

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