道人

アサシン クリードの道人のレビュー・感想・評価

アサシン クリード(2016年製作の映画)
2.9
 暗殺者を主題とする映画として重要な「死体の美しさ」の描写はとてもよかったな、と思いました。殺めた側の「できるだけ無痛に」との思いが滲む、穏やかな陽光が差し込む昼下がりのキッチンに静かに佇む母の死体…そこから一条滴る血。そして人生の絶頂期に瞬殺された男の手に握らされた林檎の赤の美しさ…。
 ジョン・エヴァレット・ミレーの「オフィーリア」を見て、「ただの女の死体」とは思えず魅入られてしまう感じというか、生の抜け殻、ただの肉塊として以上に死体の描き方が絵画的でフェティッシュだなぁ、と思いました。

 どうも現代パート(アニムスが「巨人の手による半裸の男を使った人形遊び」にしか見えなくてあんまり格好良くない)と過去パート(異端審問の狂騒空間の描写はいい感じ)の食い合わせがどうにも悪い感じがしたんですけど、過去の祖先とリンクして「アサシン」として覚醒した後のリンチの瞳が、生きる術として息を吸うように暴力を振るってきた時とは違う、達人の静かな瞳で…そこはさすがマイケル・ファスベンダーだなぁ、と。

 アクションは緩急がちょっとなぁと思いつつ、女アサシン・マリアの「掌底&アサシンブレード」のモーションはとても格好良かったです。あとラストシーン、現代の光に溢れた夜景を、闇に包まれた高所から静かに見渡すアサシン、という絵もクールでした。

(´-`).。oO(アニムスに接続したリンチを囲む祖先たちの思念体の構図に『デビルサマナー 葛葉ライドウ 対 超力兵団』のゲームオーバー画面(通称“説教部屋”)を思い出してしまったり…)


【2017.03.04 劇場観賞(2D字幕)】字幕 風間綾平さん

【パンフレット】720円
 原作ゲーム未体験だったので、『アサシン クリード』の世界観を知る上で「キーワード集」があったのは助かりました。表紙だけ見るとパンフの上下がどちらか一瞬迷ってしまうのも面白いです(笑)。
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