天豆てんまめ

ゴースト・イン・ザ・シェルの天豆てんまめのレビュー・感想・評価

3.6
アニメの「攻殻機動隊」は15年以上前に観てうっすらな記憶なので、あまり比較感無く鑑賞。スカーレット・ヨハンソンをずっと観る、その満足感。物語的にも彼女に感情移入し易い脚本・構成になっている。彼女頼みの一人称展開だけど、私はスカーレット・ヨハンソンが好きだからOK。近未来ビジュアルなかなか楽しめて、私の満足度はヨハンソン6割、ビジュアル3割で成り立った。

たけしはどう見てもたけし。銃を撃つと北野映画。桃井かおりは「SAYURI」などハリウッド映画での実績があるが、この作品でもいい味を出している。で、バトー役の大男が良かった。でも最終的な敵のインパクトが弱い。ここにもう少しクセのある人気俳優使って欲しかった。ビジュアルで一番印象に残ったのは芸者ロボット。怖美しい奇妙さがいい。

この作品の少佐=素子=ヨハンソンを観ながら、ずっと頭に浮かぶのは人間とは何を指すのか、ということ。身体か脳か意識か魂か。どこまでが人間でどこからが機械なのか?体の大部分が義体でも、脳が働き意識があれば人間だろう。でも、意識は何を指すのか。魂は何を指すのか。テクノロジーと医学の進化の果てに、脳だけが生き残るなんて、怖い生存方法があり得るのか、この作品のテーマへの興味は尽きない。

こうしたテーマは映画では数多く語られるが一番深くまで捉えている映画は何だろうか。「ターミネーター」「トランセンデンス」「A.I.」「チャッピー」「ロボコップ」から名作「2001年宇宙の旅」まで、まあ様々な切り口あるが、人間⇒機械/AIか機械/AI⇒人間に近づくパターンがあると思う。やっぱり、この作品や「ロボコップ」のように人間から始まると、悲哀と感情移入度が高まる。でも、人間とAIの境界線映画で私のTOP2はやっぱり「エキスマキナ」と「her」だろう。この2作はレビューでも熱く語ったけど、何回でも観たい。で、この作品に関しては、私の中で少佐=素子は断然人間だ。この作品は彼女の人間性のありかが鍵となっている。今後は、こうしたテーマも孕むだろう「ブレードランナー」の続編がどこまでビジュアルの進化、テーマの深化をしているのかが楽しみだ。